「ポタリング」というのは自転車でぶらぶら気の向くままのんびり走ること。
「散歩」ならぬ「散走」あるいは「散漕」という感じだ。
奈良県文化会館での(秋元順子さんの)コンサート翌日(11月4日)、東京へ戻るのを半日遅らせて、一人ゆっくり奈良カメラ・ポタリングすることにした。
今回の旅はハナからそうするつもりで、銀塩(フィルム)一眼レフとデジタル一眼レフの2台を持ってきたのだ。
(仕事道具よりも趣味の荷物の方が多い。)
レンズはそれぞれに、男らしく単焦点一本ずつ。
(重たいズームレンズまで携帯する根性がなかっただけ・・だけど。)
モノクロフィルムを入れたPENTAX LXは50mmF1.4、デジタルのK200Dは35mmF2.8Macroを装着してのお伴だ。
朝、ほどほどに早起きして外を見ると、おお!何ていい天気!
窓から見える山にかかった靄が朝日に照らされて、幽玄の美を醸し出している。
あれを撮らなくては!
もっと早起きすれば良かったと思いながら(でも昨夜も打ち上げで沢山飲んだから、これでも目一杯早起きだよな・・と納得しながら)、急いで自転車を借りて、靄を撮るのに良いアングルを求めて走り出す。
なかなか良いポジションが見つからないまま走っていて、たまたま辿り着いたところが猿沢池だった。
途中、路地裏の風景を撮ったりしながらモタモタしていたせいもあり、すでに靄は先ほどの幽玄さを失っていたが、その代わりに興福寺の五重塔が池にきれいに写り込んだ光景に出会うことができたのである。
この光景が奈良八景の一つで、絵葉書にも使われる定番だということは帰宅してから知った。
何せ「ポタリング」なので、下調べなし、無計画でのぶらぶら散策である。
あの靄が、何も知らない私をここまで導いてくれたに違いない。
やはり、早起きは(ほどほどの早さだったけど)三文の徳だったと思いながら、上下シンメトリーな構図で絶景を捕獲。
photo-1
猿沢池から臨む興福寺の五重塔。
そして、この写真がこの日の「一席」になった。会心のカット。
柳の木の下を走る自転車の位置にも注意を払いながらシャッターを切っている。
(クリック拡大すると見えます。池に写っている姿も。二人。)
photo-2
同じく猿沢池にて。興福寺の南円堂を臨む。
「一席」はこちらと一枚目と、どちらかな・・と悩んだけど、こちらは次席かな。
いずれにしても、本日の収穫のベスト2枚。
(以下、この2枚より良い写真はないので悪しからず。)
photo-3
興福寺東金堂前にて。
シカって、紙も食べるんだ?知らなかった。
あ〜あ、五重塔の写真が・・。
ねえ、君たちバチが当たるよ(・・って、シカはこの辺りでは御神体だからバチを与える側か。)
この後、朝食を取ってから、今度は薬師寺方面へ進路を取った。
大安寺を参り、更にのんびり走る。
photo-4
途中で、その趣に惹かれて細い路地へぶらりと。
こういう臨機応変な機動力の高さが、自転車の強みである。
クルマだとこういう瞬発力は望めない。
photo-5
その路地の奥が少し開けた所。
向こうに薬師寺の二つの塔が見える。
土手を走る自転車の位置にも注意を払いながらシャッターを切っている。
photo-6
ホテルで借りて乗ってきた自転車。
ポタリングには快調快適。
photo-7
薬師寺近くの秋篠川で釣りをする人。
気持ち良さそう。
遠くの鉄塔もいい味を出している(ように思う)。
photo-8
同じ場所で橋の反対を眺める。
川面への木の写り込みがきれい。
昼になってもこの通りの秋晴れ。
ぽっかぽか小春日和だった。
photo-9
薬師寺すぐ近くの路地を入ったところで、民家の塀を狙う。
photo-10
その路地を更に進んだところで。
青空と柿と木の幹のコントラストを見て、露出をいろいろ試行錯誤しながら撮った。
photo-11
色と背景のボケを楽しむための1カット。
同じく薬師寺近くの路地にて。
photo-12
唐招提寺近く。
田んぼと電信柱と民家のバランスが自分の心象風景と重なっていたので、金網を主役に背景ボケを楽しみつつ・・のイメージ写真。
photo-13
秋篠川沿いを走りながら、気持ち良さに空を見上げる。
この後は平城京跡へ向かい、観光の人で溢れる朱雀門の前を通り(写真として面白いものが撮れなかったので割愛)、自転車をホテルに返却してから、徒歩で奈良公園方面へ。
地図に出ていた春日奥山遊歩道へ行きたかったのだが、適当にぶらぶら歩いていたらそこは春日大社の表参道だった。
photo-14
石灯籠の基礎部分が夕暮れ近くの陽に浮かび上がってきれいだった。
本当はここで、逆光に照らされるシカを狙いたくて粘っていたのだが、灯籠近くの薄暗い日陰に居るシカに私の想いがなかなか届かず断念。
photo-15
本紀行ラストの一枚は、春日大社の直会殿(なおらいでん)軒下に並ぶ吊り灯籠。
・・・・
この上ない秋晴れに恵まれ、かように充実の「一人のんびりカメラ散策」を堪能して、奈良をサヨナラしたのだった。
尚、ここにアップしたのはすべて(デジカメの)K-200Dで撮った写真である。
(フィルムはまだ現像していないし、それにスキャナーもないので・・)
すべてノートリミング。
フィルムの現像も楽しみだ。
(ちゃんと撮れているかどうか不安なのも銀塩の楽しみの一つなのだ、と前向きに捉えている。)
by りき哉
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