フォト

カテゴリー

« 2016年11月 | トップページ | 2017年1月 »

2016年12月21日 (水)

ピアノトリオで奏でたマルコの世界(コンサート後記)

_mg_2514

2016年12月18日、イタリア文化会館が主催する“マルコの世界 小田部羊一と「母をたずねて三千里」展”の関連企画として、同会館アニェッリホールにて“中村力哉 Life is now trio コンサート「MARCOとイタリアンシネマの名曲」”が行われ、無事終了しました。

会場いっぱい(300名様超)の皆様にお運びいただきまして感激です。
どうもありがとうございました。

このコンサートでは、イタリアンシネマの名曲も織り交ぜつつ、1976年に制作・放映されたテレビアニメーション作品「母をたずねて三千里」の中から、主にその劇中音楽をジャズアレンジ・演奏しました。
(全52話、26時間におよぶ同作品を今秋一気に、そして一度ならず鑑賞したことは前々稿に書きました)

イタリアの港町ジェノバの活気溢れる、そして時に静かな情景。
ジェノバの町を駆ける少年マルコ。
大好きなおかあさんとの別れ。
ペッピーノ一座の、妖しく物悲しげな音楽と、愉快で楽しい音楽。

坂田晃一氏の作曲による、物語と結びついた数々の音楽はいずれも美しく印象的で、いざ選曲とアレンジに取り掛かってみると「この曲も演奏したい」「この曲も外せない」となり、結果的に、企画をいただいた当初の見当を大幅に超えた曲数を取り上げてしまいました。(主題歌と合わせて計10曲になりました)

また、コンサートに先立つ12月10日は小田部羊一氏の、17日は高畑勲監督のトークイベントにて、貴重なお話を楽しく聞かせていただきました。
「“三千里”はテレビシリーズでやってはいけない作り方でしたよね(感情を抑えた演技など、これはもう“映画”の表現手法ですよね)。高畑監督の罪深さを改めて思います」と(40年を経た今は笑いながら)お話しになる小田部氏のトークを受けて、翌週は高畑監督も「その通りだったと思います」と反省の弁(?)を語っていらしたことも含め、この展示を通して、門外漢である私にもアニメーションにおける同作品の歴史的価値の重みを感じ取れることがいくつもありました。

この名作に光を当てる大きなイベントに携われたことはとても嬉しく、コンサートを企画・構成してくださったANIDOなみきたかし氏はじめ、関係者の方々に心より感謝します。

コンサートを終えた今は、主人公マルコと共にした遥かな旅を振り返って感慨無量です。

当トリオのメンバーは西川輝正(wb)と秋葉正樹(ds)。

本稿トップの写真と以下、コンサート当日の模様です。
(写真提供; ANIDO)


_mg_2511コンサートの総合司会を、ANIDOのアニメーターでいらっしゃる藤原さんがして下さいました。


Img_0225


Img_0167私が(不慣れな)MCをしている勇姿をとらえた写真は貴重なので、記念に貼りました。


Dsc_5334_007


Img_0246(キャラクター・デザインを担った小田部氏と同様に)高畑監督も『母をたずねて三千里』を観たのは放映当時以来(40年ぶり)だそうです。
「劇中音楽からは9曲演奏しましたが、全曲とも覚えていらっしゃいましたか?」
「確かに覚えていない曲もあったけれど、いや、しかしほとんどは覚えてましたよ、うん」
と、終演後の図。


というわけで、これもぜひ再演、そしてさらなる展開ができたら、と思っています。


【コンサート・データ】
2016年12月18日(日)
中村力哉 Life is now trio コンサート
「MARCOとイタリアンシネマの名曲」
(“マルコの世界 小田部羊一と「母をたずねて三千里」展”関連企画)

piano  中村力哉
bass   西川輝正
drums 秋葉正樹

会場:イタリア文化会館 アニェッリホール
主催:イタリア文化会館
コーディネーター:イラン・グェン
構成:なみきたかし
後援:イタリア大使館
協力:日本アニメーション株式会社、アニドウ、日本アニメーション文化財団


【関連ログ】

ピアノトリオで奏でる、マルコの世界/「母をたずねて三千里」 (2016.12.10)

CD ALBUM “Frame by Frame” 中村力哉トリオ (2016.12.9)


by りき哉

ANIDO Music on Animation/中村力哉トリオ『Frame by Frame』レコ発コンサート後記

2016年11月21日、杉並公会堂小ホールにて、“ANIDO Music on Animation”シリーズとして「中村力哉 Life is Now Trio “Play the Music of Animation vol.4”コンサート」が開催され、無事終了しました。

たくさんのご来場をいただきまして、どうもありがとうございました。

2008年に初演して以来vol.4となった今回のコンサートはそのCD化記念でもあり、今秋レコーディングしたアルバム『Frame by Frame』(ANIDO RECORD)が同日リリースとなりました。
“Jazz of animation films called masterpieces”をコンセプトとした、ピアノトリオ作品です。

今回のコンサートでは同アルバムに収録した曲(※)を主に、また新たに『王と鳥』(ポール・グリモー監督)よりヴォイチェフ・キラール作曲のテーマ曲をアレンジしてお届けしました。

会場は皆さまの温かな気に包まれて、私たちも丁寧に練り込んできた音楽を楽しく演奏することができました。

ご来場いただいた皆さま、プロデューサー・なみきたかし氏はじめ関係者の方々にお礼申し上げます。

以下、コンサート当日の模様です。
(写真提供; ANIDO)


Dscf5080


Img_7157


Img_7163


Img_7167


Dscf9108


Dscf5245
リリースとなったCDアルバム(※)もたくさんの方にお求めいただきました。ありがとうございました。


【コンサート・データ】
2016年11月21日(月)
“ANIDO Music on Animation Vol.11”
中村力哉 Life is Now Trio
Play the Music of Animation vol.4
CDアルバム・リリース記念コンサート

piano  中村力哉
bass   西川輝正
drums 秋葉正樹

会場:杉並公会堂 小ホール

主催:アニドウ
企画・構成 なみきたかし
協力:日本アニメーション文化財団、オープロダクション


※ アルバム詳細については前々稿でご案内しましたので、下記リンクをご覧下さい↓

CD ALBUM “Frame by Frame” 中村力哉トリオ(2016.12.9)


by りき哉


2016年12月16日 (金)

親方より、愛弟子だった Y U さんへ

Bw135film110312_0023


「親方、これからもずっと、すてきな音楽をたくさん作り続けてください。それだけどうしてもお伝えしたくて」

そう言って電話をくれたのは、今年の春、いや、梅雨の頃だったろうか。
唐突にそう言われて、「うん、ありがとう」くらいしか答えることができなかったのは、半年後には新作のアルバムを聴いてもらえる筈だと、そう思いたかったから。

もう10年近くになるんだっけ?
レッスンを通してたくさんの言葉を交わしてきたけれど、本当にそれがお別れの言葉になってしまった。


あなたはいつもスタジオに来るや、堰を切ったように身近な出来事や感じたことをいろいろと報告してくれて、それで毎回のレッスン時間は随分と長いものになった。初めて来た日も自己紹介を丁寧にしてくれて、百万人に一人くらいの発症率だという病気のことも詳しく話してくれた。

レッスンで何か一つ教わってそれができるようになると子供みたいに喜んで、与えられた宿題は嬉々として持ち帰って・・・。
親方のトリオや「タカオバンド」、それに「bando-band」や「調草子 Kaori-ne」や「あわいびと」、どのライブにも必ず来てくれて、メールでも、次のレッスンでも感想をたくさん熱く語ってくれた。

それに、このブログのたわいない一つ一つの記事をいつもじっくり深く読み込んでくれていたことも、とても嬉しかったよ。
そうそう、だから今ここに書いているんだよ。あなたがきっと読んでくれるだろうと。


とりわけ、ピアノ・フリーインプロビゼーションの録音をここにアップした時には、あなたはその音楽をとても気にってくれて(「気に入る」という言葉では圧倒的に不足でしょうけれど)、それを自分の英語塾で一人一人の生徒に聴かせて、のみならず、その一人一人から感想を聞き出して、それをぜんぶ紙に手書きして、紐できれいに綴じてプレゼントしてくれたこと。

それを、本棚から取り出してきて読み返したよ。
日付を見ると、2008年の12月とある。
中学生から年配の方までそれぞれに、この抽象的な音楽からこんなにも様々に何かを感じてもらえたんだね。何よりその言葉の豊かさに驚くよ。さすがあなたの生徒さんたち、なのだろうか。
これは親方の一生の宝物です。

あなたもまたいつでも読み返せるよう、音も聴けるよう、ここに載せておくね。


Imgp7362 Imgp7347 Imgp7343 Imgp7342 Imgp7348 Imgp7351 Imgp7357 Imgp7359 Imgp7360

あ、あと音源をアップした元記事のリンクもね。

音楽を深く感じるために (2008.6.2)


ずっと前に「親方に似合う」と言って教えてくれた“Excellence is a thousand details”という言葉と、先の電話で伝えてくれたことを心に留めて親方もがんばるので、今年の1月に伺ったお宅で出した宿題を、あなたもそちらできちんとやっておくように。

あなたの大切な(おそらくは密かに覚悟も抱いていたであろう残された)時間を、こんな親方のピアノレッスンと音楽に注ぎ続けてくれて、本当に、本当にどうもありがとう。

そうそう、あなたの大好きだった『五月の唄』をピアノトリオで録音したアルバムが、無事に完成したんだよ。
そちらで氷取沢のような森をゆったり散歩しながら、どうぞ聴いてみてください。


親方・りき哉

2016年12月10日 (土)

ピアノトリオで奏でる、マルコの世界/「母をたずねて三千里」

Marcopost


カルピスこども劇場「母をたずねて三千里」が放映されたのは1976年。当時私は10歳でしたが未見だったので、それから40年を経た今秋、その全52話(26時間)を鑑賞しました。

・・・いやはや、すごい旅を(主人公マルコと一緒に)しました。
たくさんの出会いを振り返って、感慨無量です。

そして先日(12/1)は、イタリア文化会館が主催する“マルコの世界 小田部羊一と「母をたずねて三千里」展”の開会式&懇親会に参加しました。

キャラクターデザイン・作画監督を務めた小田部羊一氏の創作を中心に、宮崎駿氏によるレイアウト、高畑勲監督による絵コンテ、椋尾篁美術監督による背景画など美しい貴重な資料が、12/2から22まで同会館エキジビションホールで展示される催し(無料)です。

全52話(26時間 ←念押し)を鑑賞したばかりの私は、それら展示品の一つ一つに感激でした。
「絵に命を吹き込む」というおこないに、あらためて感じ入るところ多くありました。

161202

(その開会式にて、小田部羊一氏、高畑勲監督と)


さて。

その関連企画として、同会館のアニェッリホールにて12月10日は小田部氏の、17日は高畑監督のトークイベントに続き、18日は私のトリオ・コンサートが行われます。

「母をたずねて三千里」の全編にわたる音楽は、作曲家・坂田晃一氏によるもの。
その様々なシーンと結びついて心に残る楽曲の数々から、この度はピアノトリオで、またイタリアンシネマの名曲も織り交ぜてお贈りします。

マルコ・ファンの方々はもちろんのこと、どなた様もぜひお運びください。
(コンサートも入場無料です。お申し込み方法は下記リンクをご覧下さい)


2016年12月18日(日)
中村力哉 Life is now trio コンサート
「MARCOとイタリアンシネマの名曲」
(“マルコの世界 小田部羊一と「母をたずねて三千里」展”関連企画)

入場無料(下記リンクよりお申し込みください)
16:00開場
16:30開演

piano  中村力哉
bass   西川輝正
drums 秋葉正樹

場所:イタリア文化会館 アニェッリホール
東京都千代田区九段南2-1-30
(東京メトロ東西線、半蔵門線、都営新宿線「九段下」駅下車徒歩10分)

主催:イタリア文化会館
コーディネーター:イラン・グェン
構成:なみきたかし
後援:イタリア大使館
協力:日本アニメーション株式会社、アニドウ、日本アニメーション文化財団

イベント詳細・お申し込みはこちら↓
マルコの世界 小田部羊一と「母をたずねて三千里」展

(件名を「12月18日 ジャズ・コンサート」として、お名前(読み方ローマ字表記)、電話番号、参加人数を明記の上、メールにて eventi.iictokyo@esteri.it までお申し込みください、とのことです)

お問い合せ:
イタリア文化会館 Tel. 03-3264-6011(内線13, 29)


● コンサート後記アップしました↓
  ピアノトリオで奏でたマルコの世界(コンサート後記)



【付記 ご案内】
当トリオは先月CDアルバムをリリースしました。
世界の歴史的なアニメーション作品から、隠れた名曲を集めてジャズアレンジしています。

CD ALBUM “Frame by Frame” 中村力哉 トリオ


by りき哉

2016年12月 9日 (金)

CD ALBUM “Frame by Frame” 中村力哉 トリオ

Framebyframe_jacket_s

 

2016年11月21日。
前々稿および前稿でご案内しましたピアノトリオのCDアルバムが、この度めでたく完成。そしてアニドウ・レコードよりリリースされました。

 

コンセプトは “Jazz of animation films called masterpieces” 。

 

アルバム・タイトルは 「Frame by Frame」 と付けました。

 

この “Frame by Frame” は「一コマごとに」の意味で、コマ単位で撮影するアニメーションの技法を指します。
そして、絵や人形などの動かない(生命のない)ものに動き(すなわち生命)を与えること、その映像が「アニメーション」と総称されています。
音楽もまた、音に宿った命の振動である・・・とするならば、上述のコンセプトを象徴する言葉として、なんてピッタリなのだろうと。

 

 

アニドウ代表なみきたかし氏のプロデュースによる本作は、氏が精選した世界の歴史的なアニメーション作品の数々から、私がジャズアレンジしたいと感じる音楽あるいはアニメーション作品を探し出す・・・というプロセスからスタートしました。

 

音楽アレンジはもちろんのこと、そのような形で選曲にも携わった私にとって、ですから本作はとても思い入れ深いアルバムとなりました。

 

 

当トリオのメンバーは、西川輝正(wb)と、秋葉正樹(ds)。
二人とも私が心より信頼し敬愛するミュージシャンです。

 

レコーディングは(当ブログではお馴染み)ホコラスタジオで、5日間(実質4日間)にわたって行いました。
その様子は前々稿をご覧下さい↓
 ピアノトリオのアルバム・レコーディング風景

 

2016年秋の、このメンバーによる、(トリオ名に冠した “Life is Now” の通り)その瞬間瞬間のリアルタイムに生まれた音楽の記録です。

 

 

 

というわけで、以下アルバム詳細です。

 

 

 

“Frame by Frame”
 中村力哉 Life is Now Trio

 

収録曲 (カッコ内は出典アニメーション作品名)
01. ゲーナの誕生日の歌 (ワニのゲーナ・こんにちはチェブラーシカ)
O2. 雪深い山国のテーマ (雪深い山国)
03. 五月の歌 (やぶにらみの暴君・王と​鳥)
04. 狼なんかこわくない (三匹の子ぶた)
05. 疲れた太陽 (話の話)
06. すて猫トラちゃんの子守唄 (すて猫トラちゃん)
07. セントジェームズ病院 (ベティの白雪姫)
08. 霧につつまれたハリネズミのテーマをモチーフとしたインプロビゼーション (霧につつまれたハリネズミ)
09. 憂える姫に僕は歌う (バヤヤ)
10. いつか王子様が (白雪姫)
11. We’re the Couple in the Castle (バッタ君町に行く)
12. 空色の列車 (チェブラーシカと怪盗おばあさん)

 

piano  中村力哉
bass   西川輝正
drums 秋葉正樹

 

All Musical Arrangements: 中村力哉
Recorded on Sep.&Oct. 2016 at HOCOLA Studio,TOKYO
Produce なみきたかし
制作: 一般財団法人日本アニメーション文化財団
発売: アニドウ・フィルム
ANIDO RECORD
GETA-001
2016年11月21日リリース
定価 2,500円(税抜)

 

ご購入・お問い合わせは、Anido Web Shop もしくは私・中村まで。


 

 

 

 

ところで、(アルバムの音楽のことだけでなく) CDパッケージ(印刷物)の素晴らしさにも言及しないではいられません。

 

Framebyframe_image0114l1

 

高畑勲監督が帯文を寄せてくださいました(ありがとうございます)。
森川耕平氏によるジャケット・イラストは、本作のコンセプトと音楽を見事に、温かくクールに楽しく表してくれています。

 

 

 

Framebyframe_image02l Framebyframe_image03l

 

16ページのブックレットは彦根大助氏のデザインによる美しいレイアウトで、写真もテキストも充実しています。
収録の全12曲について、なみき氏による映画作品解説とともに、私も音楽解説を書きました。
2008年初演時よりの謳い文句 「学究的かつ楽しくスウィンギーな一夜」の、「学究的」な側面が浮かび上がってい(るような気がし)ます。

 

 

Framebyframe_image04l

 

 

 

というわけで、音楽もパッケージも、ぜひ皆さまのお手元に届きますよう。

 

 

 

【お知らせ】

 

当トリオは来る12月18日(日)、イタリア文化会館アニェッリホールにてコンサートを行います。
同会館で12月2日から22日まで開催される“マルコの世界 小田部羊一と「母をたずねて三千里」展”の関連企画として行われるコンサート(入場無料、要申込み)です。
お申し込み方法は上記リンク参照ください。

 

そのご案内をアップしました。

ピアノトリオで奏でる、マルコの世界/「母をたずねて三千里」

 

by りき哉

 

 

« 2016年11月 | トップページ | 2017年1月 »