ピアノトリオで奏でたマルコの世界(コンサート後記)
2016年12月18日、イタリア文化会館が主催する“マルコの世界 小田部羊一と「母をたずねて三千里」展”の関連企画として、同会館アニェッリホールにて“中村力哉 Life is now trio コンサート「MARCOとイタリアンシネマの名曲」”が行われ、無事終了しました。
会場いっぱい(300名様超)の皆様にお運びいただきまして感激です。
どうもありがとうございました。
このコンサートでは、イタリアンシネマの名曲も織り交ぜつつ、1976年に制作・放映されたテレビアニメーション作品「母をたずねて三千里」の中から、主にその劇中音楽をジャズアレンジ・演奏しました。
(全52話、26時間におよぶ同作品を今秋一気に、そして一度ならず鑑賞したことは前々稿に書きました)
イタリアの港町ジェノバの活気溢れる、そして時に静かな情景。
ジェノバの町を駆ける少年マルコ。
大好きなおかあさんとの別れ。
ペッピーノ一座の、妖しく物悲しげな音楽と、愉快で楽しい音楽。
坂田晃一氏の作曲による、物語と結びついた数々の音楽はいずれも美しく印象的で、いざ選曲とアレンジに取り掛かってみると「この曲も演奏したい」「この曲も外せない」となり、結果的に、企画をいただいた当初の見当を大幅に超えた曲数を取り上げてしまいました。(主題歌と合わせて計10曲になりました)
また、コンサートに先立つ12月10日は小田部羊一氏の、17日は高畑勲監督のトークイベントにて、貴重なお話を楽しく聞かせていただきました。
「“三千里”はテレビシリーズでやってはいけない作り方でしたよね(感情を抑えた演技など、これはもう“映画”の表現手法ですよね)。高畑監督の罪深さを改めて思います」と(40年を経た今は笑いながら)お話しになる小田部氏のトークを受けて、翌週は高畑監督も「その通りだったと思います」と反省の弁(?)を語っていらしたことも含め、この展示を通して、門外漢である私にもアニメーションにおける同作品の歴史的価値の重みを感じ取れることがいくつもありました。
この名作に光を当てる大きなイベントに携われたことはとても嬉しく、コンサートを企画・構成してくださったANIDOなみきたかし氏はじめ、関係者の方々に心より感謝します。
コンサートを終えた今は、主人公マルコと共にした遥かな旅を振り返って感慨無量です。
当トリオのメンバーは西川輝正(wb)と秋葉正樹(ds)。
本稿トップの写真と以下、コンサート当日の模様です。
(写真提供; ANIDO)
コンサートの総合司会を、ANIDOのアニメーターでいらっしゃる藤原さんがして下さいました。
私が(不慣れな)MCをしている勇姿をとらえた写真は貴重なので、記念に貼りました。
(キャラクター・デザインを担った小田部氏と同様に)高畑監督も『母をたずねて三千里』を観たのは放映当時以来(40年ぶり)だそうです。
「劇中音楽からは9曲演奏しましたが、全曲とも覚えていらっしゃいましたか?」
「確かに覚えていない曲もあったけれど、いや、しかしほとんどは覚えてましたよ、うん」
と、終演後の図。
というわけで、これもぜひ再演、そしてさらなる展開ができたら、と思っています。
【コンサート・データ】
2016年12月18日(日)
中村力哉 Life is now trio コンサート
「MARCOとイタリアンシネマの名曲」
(“マルコの世界 小田部羊一と「母をたずねて三千里」展”関連企画)
piano 中村力哉
bass 西川輝正
drums 秋葉正樹
会場:イタリア文化会館 アニェッリホール
主催:イタリア文化会館
コーディネーター:イラン・グェン
構成:なみきたかし
後援:イタリア大使館
協力:日本アニメーション株式会社、アニドウ、日本アニメーション文化財団
【関連ログ】
ピアノトリオで奏でる、マルコの世界/「母をたずねて三千里」 (2016.12.10)
CD ALBUM “Frame by Frame” 中村力哉トリオ (2016.12.9)
by りき哉
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