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2014年1月 4日 (土)

映像作品「フクシマの唄」(音楽:相馬二遍返し組曲)

Fukushima



写真家・土田ヒロミ氏とコラボレートしました映像作品「フクシマの唄」(2013年)を、YouTubeに公開しました。

「3.11」後の福島の四季に移ろう風景と、相馬地方に歌い継がれてきた唄。

昨年の夏、広島で開催された土田ヒロミ写真展で発表されたものです。



【写真】
土田ヒロミ

撮影期間:2011年6月~2013年7月
撮影場所:原発より20km圏外の緊急避難準備区域、計画的避難区域など


【音楽】
「相馬二遍返し」(福島県民謡)組曲
 和声付け・編曲:中村力哉

[演奏]
美鵬成る駒(唄・太鼓・鳴り物)
佐藤公美 (唄囃子)
佐藤錦水 (尺八・篠笛)
中村力哉 (ピアノ・鳴り物)

録音:2011年5月12日&2013年7月
東京 Hocola Studio にて


「相馬二遍返し」について
相馬藩は天明の大飢饉(1782〜1788年)では人口の三分の二を失い、復興には人口の回復が必要であったため、藩主は越後、越中、加賀(今の新潟・北陸地方)に家臣をつかわして、相馬へ移民を募りました。
その数は五千人を超えたと言われているそうです。
この唄はその時、相馬を誉めたたえる宣伝歌として唄われたとも伝えられています。


(パソコンの方へ。ぜひ再生画面サイズを大きくしてご覧いただけたらと。埋め込み画像の右下へマウスオン)



この映像の音楽は、本作品「フクシマの唄」のために、「ピアノで織りなす福島県民謡/相馬二遍返し」(2011年5月YouTube公開)に新たに録音を加えて制作しました組曲です。

歌詞やその他解説を、こちらのログに記しています。



映像中頃で背景画的に重なる唄は、福島県民謡「神長老林(かんちょろりん)節」です。


ちなみに、上記写真展のご案内ログがこちらでした。

土田ヒロミ「フクシマ in 広島」+「相馬二遍返し組曲」

この中で、今回のコラボレーションに至った出会いと、組曲制作について簡単に触れていますので、よろしければご参照下さい。


私たちが失ったものと、私たちに与えられた選択肢。
それらを見つめ直すための一つの糸口になれればと、土田氏と共にここに公開させていただく次第です。

(本作品は、YouTubeの土田ヒロミchannel 中村力哉channelの両方で公開しています)


by りき哉


2014年1月 1日 (水)

先人から受け継いだものと、次代へ残すもの

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奈良の法隆寺は、現存する世界最古の木造建築です。
1300年も前に建てられた木造の五重塔が、(おんぼろになって建っているのではなく)今もその姿に乱れなく「きちんと天に向かって一直線に」建っているのは驚異的なことです。

木材は年月とともに捻れたり反ったりしていきますが、捻れ方や反り方はその木が育った環境(たとえば日の当たり方や、風の受け方等々)によってそれぞれ違ってきます。
木から切り出されて材となった後も、生育によって得た癖は何百年にも渡って現れるのだそうです。

法隆寺を建てた飛鳥の工人たちは、山で木を選び、その木の癖を読み、「この材は三百年後にはこういう風にこれだけ捻れるから、この材と組み合わせるとちょうど良い」というようなことを見極めながら、年月とともに部材同士がしっかりと結合し安定するように、建物全体を組み上げました。
そうして千三百年を経た今も、五重塔は真っすぐ美しく建っています。

最後の法隆寺棟梁・西岡常一氏の『木のいのち 木のこころ』に触れたのは二十代の時(20年以上前)で、以来この本は幾度となく読み返してきました。

「昔はおじいさんが家を建てたらそのとき木を植えましたな。この家は二百年は持つやろ、いま木を植えておいたら二百年後に家を建てるときに、ちょうどいいやろといいましてな。二百年、三百年という時間の感覚がありましたのや」(同書より)


さて、福島の原発事故から2年10ヶ月が経ち、2014年という新たな年を迎えました。

半年前のことです。

「それは次の世代が考えること」

昨年7月17日のTV「報道ステーション」にて、放射性廃棄物が大量に来ることへの心配を問われて、六ヶ所村の村議会議長はそう答えたそうです。
「それは次の世代が考えること」と。

これほどまでに悲しい言葉があるものだろうかと、涙が溢れました。

今はまだ幼い子どもたちや、これから生まれてくる子どもたちに、私たちが作り出した大量の放射性廃棄物や福島原発事故への、いったい何の責任があるというのでしょうか。

己の目先の表層的な豊かさばかりを優先し、自分たちが出したゴミを何の責任もない世代に「これをどうするかはお前たちが考えることだよ」と言って平然と渡すような生き方を、私はしたいと思いません。

1300年前の人々は、私たちに法隆寺を残してくれました。
数値では測ることのできない知恵や思想が、様々な文化の中でずっと受け継がれてきました。

一方で私たちは今、千年後、否、ほんの数世代ほど先の人々にいったい何を残そうとしているのか。

いまだに経済がどうとかエネルギーの安定が云々というレベルで「現実」を語る人たちがいます。
現状を理由に「無理だ」と言うのは、「私はこの現状を変えたいと思いません」と言っているに過ぎません。
明日の「現実」は今日の決断の先にあるのですから。

本当の豊かさとは何なのか。
どんな未来を描きたいのか。
何を次代へ伝え残したいのか。

そういったことを、これからも丁寧に考え続けていきたいと思っています。


・・・という話を以て、2014年・年頭ご挨拶(の前編)とさせていただきます。
あの自民改憲案にすでに露になっている、そして安倍政権のこの一年間を見るにますます鮮明になりつつある「日本が立憲主義から逸脱しようとしていること」など、一言申し上げたいことは山積みになっているのですが、ぼちぼちアップしたいと思っています。

本年もどうぞよろしくお願いします。


(トップの写真:2009年10月、法隆寺)

by りき哉(2014年 甲午 元旦)



【追記】(2014.1.4)
昨夏広島で公開された写真家・土田ヒロミ氏とのコラボレーション作品を、YouTubeにアップしました。
映像作品「フクシマの唄」(音楽:相馬二遍返し組曲)


主な関連過去ログ

2011/05/04 魔法などはなく、言葉が一陣の風となる〜持続可能エネルギーへ
2012/08/05 デモについて(再稼働反対というシュプレヒコールが含意するもの)
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