2013年夏、広島にて
前ログ(土田ヒロミ「フクシマ in 広島」+「相馬二遍返し組曲」)の続編です。
そういうわけで、8月7と8日、作品を鑑賞しに(現場の音響確認も兼ねて)広島へ参りました。
以下、その濃密な二日間の記録として。
「せこへい美術館」は、旧日本銀行広島支店(現存する被爆建物の一つで、広島市指定重要文化財)の中にあります。正面入り口にて。(下の写真に続く)
そして、写真と音楽のコラボレート作品「フクシマの唄」の展示会場はその地下1階の、なんと金庫室です。
(この扉!)
(とても響く空間なので、「あれ?ミックスのリバーブこんなに深くしたっけ?」と一瞬戸惑いましたが)写真と音楽が密に交じり合う、穏やかで静かな力強い作品になったと思います。
せこへい美術館を出て、土田氏の強い勧めもあってすぐ近くの原爆資料館へ。
広島での仕事の折に原爆ドームには来ていましたが、資料館に入ったのは初めてです。
原爆を巡る理不尽を改めて見つめ、言葉を失いました。
この日の夜、A会場「gallery G」で行われたレセプションに参加。
多くの関係者(写真家の方々、編集者や美術館関係の方々、カメラメーカーの方や原爆資料館前館長など)から、今回制作した音楽に、そしてこのコラボレート作品に冥利に尽きる言葉の数々を頂戴しました。
新たなたくさんの出会いがありました。
「相馬二遍返し組曲」が関係者の方々の深い共感を得たことは、何よりも民謡という、その土地で育まれ伝えられてきた唄が持つ根源的な力によるものであったと思います。
(この音楽を共に作った美鵬成る駒さん、佐藤錦水さん、お疲れさまでした!一粒のちからがまた一つ広がりました)
広島での二日目。今回D会場「ギャラリーてんぐスクエア」にて土田氏と共同展示している写真家・宮角孝雄氏に、原爆ドーム前で撮影される私。
(宮角氏が続けているプロジェクトの一被写体として)
「では、今度は平和について考えてみてください」と宮角氏から指示されて私が自然にしたことは、目を閉じて耳を澄ますことでした。自分を包んでいる、ワシャワシャと鳴く蝉の声や、真夏の太陽の光と熱や、通り過ぎる風に意識を集中すること。平和を祈るということは、そういうことからスタートするのだ、と改めて思いました。
この日、D会場「てんぐスクエア」とB会場「NSA」を周り、広島を後にした次第です。
土田ヒロミさんの4会場のそれぞれの作品が、私たちが失ったものの大きさと、私たちに与えられた選択肢を、静かに語りかけていました。
他にも特筆したいエピソードが幾つかありましたが、一先ずこの辺で。
広島での開催は8月13日(火)までです。
詳細はこちらです。
土田ヒロミ「フクシマ in 広島」+「相馬二遍返し組曲」
by りき哉
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