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2012年1月27日 (金)

己の為すべきことを自ら探す力/調草子 kaori-ne ライブ後記

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2012年新春の「調草子 kaori-ne」ライブは大入り&大盛り上がりのうちに終了しました。

実は、今回は尺八の佐藤錦水がインフルエンザのため急遽欠場し、本番は唄とギターとパーカッションとピアノという4人編成となりました。

そういう事情で、私は久しぶりにピアノとピアニカ同時プレイも。

誰が欠けても成立しないユニットに於いて一人が病欠というハプニングを抱えたライブであったけど、何事も、機に臨み変に応じるべしと。そういうことが難なく自然にやれてしまうこのメンバーが集まっていることの妙を思う一晩でした。

今回、改めて感じたことを、備忘のため以下に記します。


音楽を演奏する上で最も大切なこと。

それは、もちろんその場その時によって様々ではあるだろう。
ホテルのラウンジで弾く時と結婚披露宴で弾く時でも違うし、レコーディングの場とライブの場ではもっと違う。
そして、音楽自体の持つ器の大きさや方法論によっても違う。

楽器の演奏技術、和声や旋律を聴き取る能力、リズムやグルーヴを出す力、音楽の理論や語彙や語法や定石に関する知識と経験、想像力や柔軟性、柔軟性と一見相反するように見える確固たる審美眼、そして何よりも、「いい音楽を作ろう」という気持ちや、他者への思いやり。

こういったことを挙げていけばキリがないし、上に挙げたことのうちの一つについてすら、三日三晩語っても終わるものではない。そもそも、その切り口の次元が無限にある。

でも敢えて断言しよう。
他者と一緒に音楽を演奏する上で最も大切なこと。
それは、「音楽全体を見渡し、自ら己の為すべき事を常に探しつつ、瞬発的に応じていく力」であると。

そして、その中でも特に大切なのが、「己の為すべきことを自ら探す力」であると思う。

「与えられたことをすごく上手にやる力はあるけど、『音楽全体を見渡し、自ら己の為すべき事を常に探しつつ、瞬発的に応じていく力』はない」という人が共演者の中に一人でもいると、アンサンブル全体としての生命力に富む発展性は大きく閉ざされてしまう。

だから、クリエイティブなユニットであるためには、メンバー個々がその力を備えている必要があるし、そういうメンバーと共に音楽を即興的に作ることができるのは、何よりも嬉しく楽しいことだ。


以上、備忘録として。


今回、ピアノのアドリブソロで、客席からの凄い熱い声援につい調子に乗り過ぎて野獣のように弾きまくってたらもう勢いが止まらなくなってしまった、まだまだ子供な私。(もっと大人になれる日は来るのか?)

PA(音響操作)して下さった方が「久しぶりに、ピアノ本体が動くプレイを観ました」と。(ちなみにグランドピアノですが)
声援の力は大きい。


お越し下さった皆さま、お囃子を掛けてくださった(客席の民謡のプロの)方々、本当にどうもありがとうございました!
今後の「調草子 kaori-ne」の発展に、乞うご期待!


トップの写真は本番前のステージの様子。
ピアノの上にはピアニカがセットしてあります。


そしてライブ終えての集合写真は顔が白トビしてしまっているので小さく。
(いずれも iPhone 4s で撮影)

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ライブ・データ

2012年1月26日(木)
調草子 Kaori-ne 新春ライブ

尺八・篠笛 / 佐藤錦水(無念の病欠のため、自宅より気持ちだけ参加)
うた / 木津かおり(急遽、篠笛も)
guitar / 内田充
piano / 中村力哉
percussion / 海沼正利

於:四谷「メビウス」


当ユニット初回ライブのログがこちら。
調草子 Kaori-ne 結成記念ライブ!
調草子 Kaori-ne ライブ後記


by りき哉


2012年1月25日 (水)

2012初春のライブ後記と告知

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今年も新春早々、濃密なライブがいろいろと。
編曲仕事も並行しつつ。

気がつけばもう1月下旬。ライブ後記(というか一言日記みたいなもの)を貼りつつ、慌てて目前のライブの告知などを。


[1月11日 水]
渋谷・JZ Bratにて、津軽三味線・工藤武率る「和魂洋奏・SHAH」ライブ。
ピアノの向きがいつもと反対で、音のバランスが良かった。
ファンの方々の、いつも熱い応援が嬉しい。


[1月14日 土]
関内 ADLIBにて 森近徹 Standard Trio ライブ。
森近さんとライブでは初共演。ギターの生島さんとは初対面。そしてADLIBも初めて伺う。エリントンもの等スタンダードを中心としたセッション。
ADLIBはピアノ(ヤマハC3)の音も良く、PA無しでちょうど良い音量と響きで、雰囲気もとても良い。
サックスとギターとピアノのトリオ編成は音の空間を自由に遊べるから楽しい(反面、己の自由度が試される)。
同じメンバーで、来月は東中野のセロニアス。楽しみだ。
森近徹 ts
生島佳明 g
中村力哉 pf


[1月17日 火]
関内 Bar Bar Bar にて中野渡章子ライブ。
この妙なる布陣!私が敬愛して止まないプレーヤーが集まり、しかも「初めまして」率が高い(全員を知っているのは私だけという)初の組み合わせ。

音の空間、ダイナミックレンジ、ストーリーの展開、語彙や話法、柔軟性や包容力、・・等々。音楽の無数にある断面について、改めて思いを巡らせる。こういうメンバーでこういうふうに音楽を紡げることの喜びを深く感じる、最高に楽しいライブだった。
いろいろなことに感謝。
中野渡章子 vo
岩谷耕資郎 g
中村力哉 pf
Mark Tourian wb
平井景 ds


[1月18日 水]
市川 O'd Diner にて、のがみともみ(vo)さんとのデュオ。自由な対話を楽しむ。


[1月20日 金]
上板橋 GreenDoor にて、富田直登クインテットのライブ。
リラックスして熱く(という目標)。
富田NaoTo tp
黒田一義 ts
中村力哉 pf
岡本紘志 wb
今関和彦 ds
かわべまいこ vo


そして!
ここからはライブ告知です!(って、もう明日と明後日なんですけど)

[1月26日 木]

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四谷「メビウス」にて、調草子(しらべのそうし)〜Kaori-ne〜 第二弾・新春ライブです。

尺八・篠笛  佐藤錦水
うた     木津かおり
guitar    内田充
piano    中村力哉
percussion 海沼正利

もともと無伴奏だった口伝の調べを、艶やかに転生させるべく、邦楽家 佐藤錦水の呼び掛けのもと、各方面にて活動中のアーティスト達が一同に集結した。日本語特有の発声、韻から生まれた日本固有の音楽の原点を、今の音色で蘇らせる伝え人たち。

当ユニット初回ライブのログがこちら。
調草子 Kaori-ne 結成記念ライブ!
調草子 Kaori-ne ライブ後記

今回のライブ後記アップしました。(1/27)
己の為すべきことを自ら探す力/調草子 kaori-ne ライブ後記



[1月27日 金]
柏「Studio Woo」にて、すっぴんジャズ"samANDo"
samA & EaudeMONDo(ex.samaNOЯI)ライブ。

vocal   早眞
s.sax   日竎則彦(produce)
piano   中村力哉
bass    岩川峰人
Drums   島野和樹
ゲスト
~ from HIBI★Chazz-k ~
a.sax   澤田亜矢子
t.sax   筒井洋一
b.sax   小仲井紀彦

DiamondでMONDOモードなJAZZ&POPユニットです(って、私も意味よく解っていないのですけど)。
samANDoとは?(vo 早眞さんのブログ)





それぞれのライブデータはLIVEの予定に。
皆さまのお越しをお待ちしています!



トップの写真
PENTAX LX+planar 50/1.4+400TMAX(self development)
(本記事とは何も脈略なく、ただ飾りに貼ってみました)


by りき哉

2012年1月16日 (月)

お父さん日記・2011秋〜2012初春

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備忘を兼ねて、昨秋以降の日記から。
(一部は過去ログに既出)


[2011年10月25日]
仕事で行けなかった幼稚園の運動会。携帯で撮ったムービーのダイジェストを観た。おおっ!本人の肩ほどまで高くした竹馬に(台の上から)乗って、ゴールまでスタスタと一気に駆け抜けた姿に、お父さんは感慨無量の夜。


[2011年12月6日]
息子のピアノレッスンは今まで一年近くお父さんオリジナルの練習をさせていたのだけど、今日は昇級テストという事にして、合格にして、8級から7級に進級した事にした。嬉しさを隠すように首をすくめてから台所へ行き、「ねえ、おかあさん、ぼくね、昨日まで8級だったけど7級にしんきゅうしたんだよ」と。

毎晩寝る前にちゃんと(ほんの5分程だけど)練習し続けてきたからね、そろそろお父さんの我流じゃなくて教則本に沿ってみようと。バイエルは時代遅れという噂も聞き、明日からはバーナムピアノ教本でレッスン。ざっと見てみると、「お父さん認定7級」の彼なら1冊目は楽勝だろう。飽きないで続けば。

ちなみに「8級から7級に」という数字は、もちろんテキトーな思いつき。お父さんは八段ということにしておく。(まだ上に九段、十段、名人とある)


[2011年12月15日]
息子の誕生日プレゼントを買いに来た新宿にて。幼稚園で先日マフラー編んだのがよほど楽しかったのか、「お父さんのも編んであげるから」と、誕生日プレゼントに欲しい物は毛糸とのこと。いいのか、恐竜のおもちゃじゃなくて?

しかも、二つの毛糸の束を比べ、「どっちが安いの?」「こっちは350円でこっちは500円だからこっちの方が安いよ」「じゃあ、こっち!」と安い方を選ぶ。え、えらいな、お前。

結局、毛糸を買った後、ランドセルと恐竜図鑑を買ってご飯を食べて帰宅。でも(恐竜の絵本や図鑑はすでに沢山持っているし、ランドセルはまだピンとこないのか)毛糸が一番嬉しそうだったような・・。(マフラー楽しみにしてるよ。おやすみ)


[2011年12月24日]
リハ終わって本番までの空き時間に、新宿で息子とクリスマス・プレゼント選び。沢山のおもちゃを前にしても、サンタさんにお願いしたい物はペンキとのこと。ダンボールを塗りたいそうな。先週誕生日に欲しがったのは毛糸で、クリスマスにはペンキ。職人気質なのか。

「ペンキならお父さんが今度買ってあげるから、今日はサンタさんにしかお願いできないものお願いしたら?」「じゃあ、ペンキをぬるふで!」「筆もお父さんが買ってあげるよ」「うーん・・・、じゃあ、ダンボール!」


[2012年1月1日]
「そういえばお父さんのマフラーはできたのか?」「え?まずおかあさんのをあんでから、それからおとうさんのだよ」「じゃあ、お母さんのはできたの?」「え?・・うーんと、まだ」
途中まで編んだものの、買ってきた毛糸が太すぎて小さな手では編みにくかったので中断し、細いのを買ってきたけどもうモチベーション落ちてそのままになっているらしい。
「早く編んでくれないと冬が終わっちゃうよ」「うん、わかった」 返事に覇気はない。完成を見る日は来るのか。


[2012年1月3日]
なかなか上手に回せないからすぐに飽きちゃうし、すぐに飽きちゃうからなかなか上手に回せるようにならない。よし、お正月だし、今日はコマ回しの特訓しよう。そうそう、膝をついて低い位置から、もっと遠くへ、丁寧に、「回れ!」って投げると、ほらっ、回った!
だんだんコツを掴んできて、何秒回ったかをノートにつけ始めたら、記録更新が楽しくて「3ページ埋まるまでやる!」
よかったね。冬休み明けたら幼稚園で対決できるね。

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[2012年1月7日]
近所のガソリン・スタンドまで歩いて灯油の買い出しお手伝い。空っぽの往路だけかと思ったら20リットル満タンの復路も全部運んでくれました。
(ちなみに我が家の12月の電気使用量は、昨年より55%の減少でした)

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[2012年1月8日]
仕事から帰宅すると「おとうさん、目つぶって。・・はい、もういいよ、ほらっ」
目を開けると、おおっ、マフラーが大体できている!「長さを見るから、おとうさん、首にまいてみて」「どれどれ、うーん、もうちょっと長い方がいいな」「オッケー、わかった」と、どんどん編んでくれる。へぇ、指でそうやって編むのか。

「これでどう?」「うーん、あとほんのちょっとだけ長くして」「はい、いいよー」と編み進み、ついに完成! 
いいね。どう?似合う?いい色だね。長さも丁度いいよ。あったかいね。ありがとう!!!

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by りき哉

2012年1月 2日 (月)

2012年 みずのえ辰/年頭ご挨拶

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2012年。新年のご挨拶を申し上げます。

経済第一という幻のような価値観の塊である原発を卒業し、本当に豊かな社会を子供たちにプレゼントするための歩みを、昨年に続き更に大きく進められますように。
東北地方の失われた風景と生活が、一日も早く戻ってきますように。

個人的なテーマは例年と同じく「耳を澄ます」です。
本当に自分は耳を澄ましているか。既存の理論や己の乏しい知識や経験に囚われていないか。
先入観を捨て、少しでも無垢な耳で音と静寂を聴けるよう、(マイペースで)精進したいと思います。
一音に宇宙を聴くべし(と自分に言い聞かせる新年二日目)。

それにしても、これは毎年のことだけど、大晦日から元旦へ年が明けると、本当にどうしてこんなに「新しいページが開いた」という気分になるのだろう。
月日の移ろいに特異点などあろうはずもないのに、やはりこの区切りに特別な感慨を抱いてしまうのは、自分が単なる一つの観念でしかない暦(こよみ)というシステムに毒されているからなのか。
つまり、それは、自分が真に耳を澄ますことができていない、ということの現れなのかもしれない。
・・と思ったり。

本年もどうぞよろしくお願いします。


トップの写真
PENTAX LX+planar 50/1.4+400TMAX(self development)


by りき哉

「年頭のご挨拶」の第一弾「自転車都市の思潮」も、絶賛ご高覧賜り中!


2012年1月 1日 (日)

自転車都市の思潮

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ログ「自転車をめぐる都市の在り方について」の続編(というか、本編)です。


当ブログを開設した4年前当初より、自分のプロフィール欄には「自転車・・・幹線道路に専用車線を完備してほしい」という一文を載せている。

私は世田谷区(区役所近く)のスタジオから、渋谷や新宿はもちろん、池袋も上野も銀座も(雨でなければ)自転車で行く。
たとえば上野のライブハウスまで、歩くと(休みなしで)たぶん4時間くらいかと思うが、自転車だと小一時間ほど。
(ちなみに電車でも同じく1時間くらい)

歩くのにくらべて、自転車に乗るとどれほど早く遠くまでラクに移動できることか。その圧倒的なパフォーマンス(能率)に驚嘆せずにいられない。だって、それが100パーセント「人力」によって成し遂げられているのである。

自転車に乗ることは、いわば自分の身体が拡張されたサイボーグになるようなものだ。それを身につけると、(空は飛べないけど)ものすごい移動能力を獲得する。繰り返すが、排気ガスも放射性廃棄物も出さずに、だ。

その「エコロジー性と利便性のバランス」を考えれば、人類史上最大の発明は自転車である、と言わずして何があろうか。

そればかりではない。

日常の足に自転車を利用していると、春には春の匂いを、秋には秋の風を身体全体で感じることができる。
冬は自転車ではさぞ寒かろう、と思う方も多いようだが、実はその反対で、一生懸命漕いでいるとすぐに熱く(心情的には「暑く」)なるのでむしろ薄着の方が良いほどだ。(私は真冬の新宿で人々がコートの襟を立てて吹きすさぶ寒風を凌いでいるときに、半袖のTシャツ一枚で汗だくになって自転車にまたがって信号待ちしている姿を奇異の眼で見られる、という経験をよくしている)

では夏はどうか。もちろん暑い。
しかし夏は暑いから良いのであって、もしもスーツを着てネクタイをして自転車に乗らなくてはいけないとなれば拷問に等しいが、短パンにTシャツで乗る分にはその暑さはむしろ心地よさすら感じるものであり、短パン&Tシャツで行ってはいけない事情があるのだとしたら、それは自転車の利便性に異論を挟むのではなく、社会のマナーとか常識とされている共通規範そのものをこそ疑うべきであろう。

端的に言えば、近年言われている「クールビズ」という運動はもっともっと推し進めるべき、ということである。暮らしている土地の気候風土に合った価値基準、審美眼、マナー等を、改めて模索していく必要がある、ということだ。
ハワイではレイを首にかければ(短パンにシャツでも)、それは西洋のタキシード級にフォーマルであることとされる。
スーツにネクタイ姿こそが正しいマナーだとされたのは、そもそもどんな気候風土で育まれた文化なのか。それは今や亜熱帯と言ってよい夏の東京において、果たして私たちが模倣し続けるべき風習なのか。
冷静な判断力があれば、東京の夏の服装マナーは(ビジネスに於いても)、むしろハワイをお手本にした方がよいことに気付くはずである。
この提言に眉をひそめる人たちは、この日本の長い歴史の中でつい最近生まれたばかりに過ぎない一つの慣習に、単にとらわれ続けているだけであろう。

そして、その固定観念にとらわれたままでいることは、近年の経済成長第一という幻のような価値観を見直す眼差しすら持てない、ということに等しい。

自転車とクールビズ。
どちらも根っこは同じだ。

東京は自転車で走ってみると、殆どの人が「電車で行くのが当たり前」と思い込んでいる所も実は「意外に近い」と実感できる。
そう。これはぜひ大きな声でお伝えしたいのだが、都内を自転車で移動するのは、今これを読んでいる貴方が思っているよりも遥かにラクチンで早い(たぶん)。
たしかに一つの路線で駅から駅までの競争をしたら、自転車は電車に敵わない。
しかし「door to door」であれば、(ましてや乗り換えの一つや二つもあったりすれば尚更)自転車の方がかなり有利なのだ。
対クルマだって、道の空いている真夜中であれば敵わないが、朝夕の渋滞している中での自転車の優勢は圧倒的である。

環境に限りなく優しく、しかも健康にも良くて、移動スピードは条件によっては電車やクルマを凌ぎ、到着時間も正確に読め、ドラムセットやコントラバスは難しいかもしれないがテナーサックスやタブラくらいなら荷物を運ぶこともできる(近頃は高性能なリアカーもある)。良いこと尽くめだ。

問題は、この都内に自転車が安全に安心して快適に走れる環境がない、ということである。そして、それこそがこの都会の交通事情の最大の問題点であり、クールビズの話と同じく、私たちの観念を根底から見直さねばならないことの一つなのだと思う。
人類史上最大の発明である素晴らしい愛すべきこの利器を、私たちはもっともっと活用しよう。

まず、都内の片側2車線以上ある道路は(明治通りも六本木通りも甲州街道も環七も・・ことごとく)、その左車線すべてを自転車のための専用レーンにすべきである。尚かつ、その自転車レーンはさらに「走行レーン(低速用)」と「追い越しレーン(高速用)」に分ける必要がある。
そして、片側1車線以下の道路では「クルマより自転車の方が上位である」という認識を社会通念とし、「クルマは前を自転車が走っていたら追い抜いてはいけない」というルールにする。

・・・というのはほんの少し極端かもしれないが、それくらいに発想を大胆かつ柔軟にしていく必要がある、ということなのだ。

一口に自転車と言っても、お年寄りや子供や買い物ママさんなどの自転車と、高速度で幹線道路を快走するスポーツ車はまったく別物である。前者は限りなく歩行者に近いし、後者はクルマに近い存在。
そのどちらもが自転車の利便性を享受し安全に安心して走れる環境を目指したい。

結論。交通インフラも、人々の意識も、東京はオランダやデンマークなどに多いに学び、自転車優先の未来都市を描くべし。

その雄図の奥を流れる思潮は、「すべては繋がっている」ということ。
クールビズのことも含め突き詰めて語るならば、「日本には美しい四季があり、時節の細やかな機微を身体で感じて暮らしていくことを大切にしたい」という話になろう。
そしてそれは「五感を研ぎ澄まそう」ということであり、「耳を澄まそう」ということである。

クルマは便利だし、そのエコロジー性能はこれからも技術進歩とともに向上していくだろう。
しかし、他者や外界への体内アンテナを磨くということに関して、そのベクトルはどこまで行こうとも、自らの身体で動かす自転車という利器が備えている卓抜した哲理に近づくことはない。

自転車は私たちの、目前の景色はもとより、知の風景を変えてくれるのだ。

以上が、当プロフィール欄の「自転車・・・幹線道路に専用車線を完備してほしい」という一言に込めたメッセージ(の概略)である。

都内は意外とアップダウンが多い。三軒茶屋から銀座へ行くには丘を3つ超えなくてはならない。
強い向かい風に行く手を拒まれ、「でも帰りは追い風」と思いきや帰路も向かい風に泣くこともある。
しかし、上り坂も向かい風も、暑さも寒さも、それを感じることこそが「生きる」ということなのだ(と己に言い聞かせ、ペダルを漕ぐ)。

そのペダルの一漕ぎが、巡り巡ってやがて己の音楽となるのだ(といいな)と思う。




・・という具合に、自転車賛歌から少し大きめの風呂敷を広げて、2012年元旦の夜、取り敢えず新年のご挨拶としておきます。

本年もどうぞよろしくお願いします。
(関連する話は、これからもたぶんエンドレスで続くでしょう)


トップの写真は2010年秋、東京・代々木公園にて。
PENTAX LX+smc M50/1.4+PRESTO400(self development)

by りき哉



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