ピアノで織りなす茨城県民謡「網のし唄」
「東北地方の民謡に和声を付けることで復興の力になれたらうれしいプロジェクト」(仮名称)の第三弾です。
復興を祈る私たち一人一人の想いに、この音楽が少しでも寄り添うことができたなら幸いです。
日本の民謡はもともと和声(という概念)を持たない音楽ですが、そこにピアノによるハーモニーを加え、受け継いできた伝統と文化を大切にしながら、新たな解釈とともにアレンジ・演奏しました。
茨城県民謡「網のし唄」
沖の瀬の瀬で どんと打つ波は
みんな貴方の アレサ 度胸定め
ハァ 延せや延せ延せ 大目の目延し
延せば延すほど アレサ 目が締まる
ハァ 一丈五尺の 艪を押す腕に
濡れて花咲く アレサ 波しぶき
船は新造で 船頭さんは若い
大漁させたや アレサ お船さま
沖でちらちら アラ 灯が見える
あれは平磯の アレサ さんま船
以上は、この演奏で唄っている歌詞です。
(他にもいろいろな歌詞があります)
大目網はマグロの流し網漁に使う目の粗い網で、昔、これを編むときには網を濡らしてから十人くらいで引っ張り合い、目を締めたのだそうです。
三陸一帯の漁師たちの酒席の騒ぎ唄であった、艪をこぎながら唄う「舟甚句」や「浜甚句」が次第に南下して伝わり、茨城県の三浜(さんぴん:那珂湊、平磯、大洗)の漁師たちの間で、大目網を締めるときに唄われるようになった唄が、この「網のし唄」だということです。
この地で育まれてきた唄を後世へ伝えていくこと。
その力のささやかな一粒になれればと願っています。
この動画の演奏者
美鵬成る駒(唄・太鼓)
佐藤錦水 (尺八・篠笛・唄囃子)
中村力哉 (和声付け・ピアノ・タブラ・唄囃子)
2011年6月30日 東京 Hocola Studio にて録音
(ちなみに動画の絵は、この音楽のバックグラウンド画として自分で描きました。絵を描く習慣も趣味も持ち合わせておらず、誠に稚拙でお恥ずかしい限りですが、「気は心」ということで・・。
2011年7月6日 26×34cm クレヨン)
このシリーズの第一弾
福島県民謡「相馬二遍返し」
シリーズ第二弾
宮城県民謡「十三浜甚句」
震災直後に祈りを込めて弾いた「朧月夜」
今できること (朧月夜/ソロピアノ)
【追記】(2015.11.30~)
● 温かなメッセージをたくさん頂きまして、2015年秋、CDアルバムの形にしました。
詳細はこちら。
● アレンジ(和声付け)について、少し言葉にしました。
「伝承と創出のあわいに」
● 当プロジェクトのwebsiteを作りました。(12/20)
awaibito.com
by りき哉
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