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2011年6月 8日 (水)

ピアノで織りなす宮城県民謡「十三浜甚句」

「東北地方の民謡に和声を付けることで復興の力になれたらうれしいプロジェクト」(仮名称)の第二弾です。

消えてしまった風景を呼び戻すために。
復興を祈る私たち一人一人の想いに、この音楽が少しでも寄り添うことができたなら幸いです。

日本の民謡はもともと和声(という概念)を持たない単旋律ですが、そこにピアノによるハーモニーを加え、受け継いできた伝統と文化を大切にしながら、新たな解釈とともにアレンジ・演奏しました。


「十三浜甚句」は宮城県石巻市の十三浜地方に伝わる唄です。
漁師たちの酒席の騒ぎ唄として唄われてきました。


宮城県民謡「十三浜甚句」

ソリャ 一つ歌うちゃ ハァ 遠慮もするが
歌い始まりゃ オヤサ 幕ひかぬ

ソリャ なんと吹く風 ハァ 昨日今日で二日
明日の入り船 オヤサ 気にかかる

ソリャ そばにも寄られぬ ハァ バラ株さえも
さわりたいよな オヤサ 花が咲く

ソリャ 一つ歌います ハァ 十三浜甚句
地なし節なし オヤサ ところ節

以上がこの動画で唄っている歌詞ですが、もう一つ歌詞をご紹介しておきます。

ソリャ 浜でなんだれ ハァ 手拭帯に
いつも大漁か オヤサ 締めどおし


動画に貼った写真は十三浜の海の風景です。

写真はこの動画作成にあたり、北上町十三浜の隣町、南三陸町にお住まいの佐藤秀昭氏から快くご提供いただきました。
「十三浜は北上川の河口でもあり、私の大好きな風景が広がる良い所です。海から川へと織りなす美しい風景は誰しもの心を安堵感へと導きます」と、佐藤氏はメールで語ってくださいました。
「しかしこの震災ですべてが消えてしまいました」とも。

佐藤氏はご家族とともに幸運にも生き延びることができました。
震災後も更新している佐藤氏のブログをご紹介します。
南三陸 海 山 川!

そして震災後に初めて投稿された4月15日のログもご紹介しておきます。
http://blog.goo.ne.jp/hiderinn_s/m/201104/1


故郷を想う気持ちは、未来へ向かう私たちの大きな力になると信じています。
この地で育まれてきた唄を後世へ伝えていくこと。
その力のささやかな一粒になれればと願っています。


この動画の演奏者
 美鵬成る駒(唄・三味線・当り鉦)
 佐藤公美 (太鼓・唄囃子)
 佐藤錦水 (尺八)
 中村力哉 (和声付け・編曲・ピアノ・ローズピアノ・タブラ・カシシ等)

2011年5月 東京 Hocola Studio にて録音


次回は茨城県の民謡「網のし唄」をお届けしようと思っています。


このシリーズの第一弾
ピアノで織りなす福島県民謡「相馬二遍返し」

シリーズ第三弾
ピアノで織りなす茨城県民謡「網のし唄」

震災直後に祈りを込めて弾いた「朧月夜」
今できること (朧月夜/ソロピアノ)


【追記】(2015.11.30~)
● 温かなメッセージをたくさん頂きまして、2015年秋、CDアルバムの形にしました。
 詳細はこちら

● アレンジ(和声付け)について、少し言葉にしました。
伝承と創出のあわいに

● 当プロジェクトのwebsiteを作りました。(12/20)
 awaibito.com


by りき哉



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コメント

2曲共、興味津々で聴かせていただきました。西洋楽器の王様であるピアノが全く違和感なく溶け込んでるどころか、新たな風を吹き込んでよりイメージを膨らませてますね。

福島民謡の方、切ないハーモニーがなんともいえない。それにサポートされてか、歌声がより沁みる感じ。宮城民謡の方ピアノ・ソロ(間奏)の部分では、ちょっと洋風な風も薫ってきてそれがまたオシャレ(立場上(?)和洋折衷もの大好きなんで(笑))。タブラも入ってるんですね!

中村さんならではの素敵な発想のこのプロジェクトが、多くの人の琴線に触れることを祈ってます。(私もこんなアレンジが出来るといーなー。)

PS:こういう曲を掘り出してくること自体にもいつも感心しております。

和洋折衷な女(さて誰だ?)さん

そのペンネームの付け方でバレバレです。
大方、http://pandes.jugem.jp/ のyukiさんでしょう^^
(・・って、紹介しちゃっても構わないよね?)

民謡2曲にコメントどうもありがとうございます!

タブラに言及してくださるあたり、流石です。
2年間ほど先生について一生懸命練習した成果が、初めてここに結実しました。気は心ということで^^;

>西洋楽器の王様であるピアノが全く違和感なく溶け込んでるどころか、新たな風を吹き込んでよりイメージを膨らませてますね。

とても嬉しい評価を頂きまして・・^^
旋律にこうして和声を与えることで、たとえば、古典としての民謡に無縁だった若い人たちにもその素晴らしさを再認識するキッカケになれたら嬉しいし、民謡に造詣の深い方にも新たな世界観を楽しんでいただけたら・・・という思いもあってやっています。

「曲の掘り出し」は私の力ではなく、このプロジェクトを一緒にやっているお二人(お二方とも民謡界)から教わっています。
今回は東北の(特に被災地の)民謡をたくさんリストアップしてもらって、唄ってもらって、それを聴いて私が選曲しています。

>このプロジェクトが、多くの人の琴線に触れることを祈ってます。

どうもありがとう!!

>大方、http://pandes.jugem.jp/ のyukiさんでしょう

↑ おほほほほほ。お察しのよろしいこと。

>古典としての民謡に無縁だった若い人たちにもその素晴らしさを再認識するキッカケになれたら嬉しいし、民謡に造詣の深い方にも新たな世界観を楽しんでいただけたら

↑ そのねらい、ごっつぅ伝わっとりまっせ。

>このプロジェクトを一緒にやっているお二人(お二方とも民謡界)から

↑ なるほど。素敵な人材とチームワークによる異文化融合(?)にも乾杯・・でありますなぁ。

また登場します。それではまた!

十三浜の出身者です。小学校の運動会の余興で踊ったこの曲に泣かされる日が来るとは思いもしませんでした。東日本大震災の津波で母と祖母、母方の祖父と叔母、叔母の息子が亡くなりました。どうしてこんなことになるのだろうとあの日以来毎日思い続けています。実家の家族で唯一生き残った父親は仮設住宅で暮らしています。実家にいたときは、コンビ二もないド田舎である地元がイヤでイヤで仕方なかった。失われて気づきました。私が生まれ育った場所は、なんて美しい場所だったんだろう、と。涙が止まりません。

お母様はじめご家族ご親族を亡くされ、故郷が消えてしまった悲しみの果てしなさは、到底私の想像の及ぶものではないだろうと立ち尽くしつつ拝読しました。謹んでお悔やみ申し上げます。

小学校の運動会で踊られたのですね。この「十三浜甚句」が、記憶の中の風景を辿る一助になれたとしたら何よりです。
いろいろな写真にも震災前の十三浜の明媚な風光を見ることができますが、本物の風景はどんなに美しかったろうと想像を広げています。

涙が、どうか悲しみを少しでも洗い流してくれますように、心よりお祈りしています。

書きこんでくださって、どうもありがとうございました。

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