二眼レフがやってきた/ようこそMinolta AUTOCORD:前編
先日、二眼レフカメラを入手した。
ミノルタのオートコードというカメラだ。
今まで35ミリの(一般的な)一眼レフしか経験がなかったが、中判への興味は自分の中で常に隅の方にあった。
いつかは中判にもチャレンジしてみたいと憧れつつも何となくハードルの高さを感じていて、カメラ屋さんに行っても見て見ぬふりをしてきたのだが、用事のついでに立ち寄った行きつけの中古カメラ屋さんでふと思い立ち、ローライフレックスとハッセルブラッドを初めて触らせてもらって、基本的な操作方法を教えて頂いた。
中判カメラに於けるローライフレックスとハッセルブラッドは、ピアノで言えばスタンウェイとベーゼンドルファみたいなものだ(と思う)。
どちらも(中古でも)とても高価なカメラだから、ライカと同様、お財布に相談するまでもなく自分には無縁と承知している。
しかしそれぞれを実際に触ってみて、自分の慣れ親しんだ35ミリ一眼レフと姿形がまったく違うために謎だったその操作が解ってみると、当初感じていたハードルは幾分低くなったように感じた。
35ミリでも中判でも、ファインダーを覗き、絞りとシャッタースピードを決めてピントを合わせてレリーズするだけであるのは同じだ。
そして二眼レフのローライフレックスと一眼レフのハッセルブラッドでは、私にはローライの方がスッとしっくりときた。
ハッセルはとても重たいのと、レリーズでファインダーがブラックアウトしたままになる点が、私には少しマイナスであるように感じた。
(さらに、レンズなどをいろいろ交換できることはハッセルのシステムの利点であるが「それは逆にどこまでもお金がかかることを意味する」と思えた点も、私にはマイナス点であった。)
ローライは、ハッセルに比べれば断然に軽かったし、よりレトロな外観も素敵だった。
レンズ交換はできずそれ一台で完結する、という点にも潔さを感じる。
ふむふむ・・なるほど。
いつか(遠い先のことであろうけれども)二眼レフにチャレンジしてみよう、
・・と思った。
そして、その場でミノルタ・オートコードに出会ったのである。
このカメラについては何も知らなかった。
陳列棚から出してもらい、カウンターで手に取ってみる。
16,800円也。
ローライの中古の、十分の一から二十分の一の値段である。
しかし、廉価なのに、とてもしっかりした作り。
その個体は見た目もきれいで、動きもスムーズだった。
ファインダーもきれいで見やすかった。
とても50年以上も前(1950年代)のカメラだとは思えない。
高級品であるローライフレックスは確かに素晴らしい。
しかし、このオートコードも、負けず素晴らしい存在感を放っていた。
操作性は、むしろこちらの方が上であるようにさえ思った。
(たぶんローライはピント合わせと巻き上げで手を左右に持ち替えないといけないが、オートコードは右手だけですべての操作を行える。)
同じ値段で並んでいたシーガル(SEAGULL)の二眼レフも触らせて頂いたが、それに比べると(申し訳ないが)このオートコードの質感と操作感は圧倒的な心地よさだ。
手にしてファインダーを覗いた瞬間、(この値段のことも考えれば)もう一目惚れしたようなものだった。
対費用効果(費用対効果とも)で言えば、これの倍以上の値段のコンデジ(コンパクト・デジタルカメラ)よりも、得られる写真のクオリティは遥かに高いのは間違いないし、撮影することの楽しさ・喜びだってコンデジの比ではないだろう。
彼(オートコードくん)が、
「私はとても良いカメラですよ。しかもこんなに程度が良くてこの値段は、これ以上ないくらいお得ですよ。中判にもチャレンジなされば、あなたのフォトライフは更に楽しくなりますよ!」
と語りかけてくるのが聞こえた。
ペンタックスLXと出会ったときのことが思い起こされた。
あの時、LXくんも同じようなことを私に囁いたのだった。
今回もこれは必然の出会いであることを直感しつつも、買い物に慎重な(勇気のない)私は二日間キープしてもらう約束をして店を後にし、・・二日後に購入したのである。
購入前に他の中古カメラ店をハシゴして、何個かの個体を見比べたのだが、たしかに、これはどれよりもはるかに程度が良くて安かった。
おそらく買い物としては「圧倒的勝利」であったに違いない。
しかし何せ50年以上前の機械なので、実際にフィルムを入れて撮ってみないことには安心できない。
(念のために補足するが、骨董品としてではなく、実用品として求めたのである。)
レンズ前玉にかすかに拭きキズがあり、一般的にそれは(後玉でなく前玉の少しくらいのキズは)撮影には殆ど影響しないらしいが、この個体の場合はどうだろうか。
そして、ブローニー(中判)フィルムで撮る、というのはどんな体験だろうか。
実写テストを経た感想は後編にて。
つづく。
記事トップの写真は、ウチにやってきたミノルタ・オートコード。
かくも精悍かつ美しい(でしょ?)。
正面下部のピント・レバーが、笑っている口みたいで、その両側にはチョビヒゲを蓄えているようで、なんともユーモラスな表情に見える(のは私だけ?)。
by りき哉
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