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2010年5月17日 (月)

庭園インプロビゼーション vol.00

楽しみにしていた実験が、いよいよ動き出した。
先日(ログ「メタ認知と音楽表現プロセス」で)予告した、私が被験者として参加する実験である。

これは東京工業大学の藤井晴行先生による研究で、簡単に(私なりに)要約すると、庭園における空間体験を音楽として表現するときの認知プロセスをデザイン学の見地から探る、という(私にも非常に興味深い)試みである。
そしてこの試みにおいては、その認知プロセスのメタ認知が重要な役割を担う、ということらしい。

庭園では、たとえば・・青空の下、目の前に池があって、石があって、木もあり、人もいる。
それらの形や配置や色や・・無数に分解できる要素群から、私は何を抽出し、何にフォーカスを当て、それをどんなふうに即興的に音楽に変換するのか。
そしてその変換の仕方は、体験を重ねていく過程でどのように変化していくのか(あるいは変化しないのか)。

さらに、この実験を逆から(つまり被験者としての私の立場から)見ると、自分自身のフリー・インプロビゼーションを再解釈することで自分が空間の何を感じているのかを(科学的な手続きを経て)事後的に知ることになるかもしれない、という興味もあり、そんなことも密かに期待している。

実験の具体的な手順は・・・

[セッション1]
庭園に行き、そこで感じたことをその場でフリー・インプロビゼーションで表現し、そしてその体験(つまり音楽表現したプロセス)を言葉で自ら語る。
また、表現者はその空間の写真も撮る。

[セッション2]
時間(日)を置いてから、セッション1の録音を現地で(あるいはスタジオなどで現地の写真とともに)鑑賞し、再解釈したことを言語表現する。
そしてそれを踏まえて、新たな音楽表現(フリー・インプロビゼーション)を行う。

[セッション3以降]
前回までのセッションの再解釈、そしてそれを踏まえた新たなセッション、というサイクルを(現地またはスタジオなどで)重ねる。

[別の庭園でのセッション]
上記のセッションを、各地の庭園で行う。

だいたい、こんな流れで進んで行く予定である。

藤井さんは今回の実験につながる研究を長年なさっているのだが、空間体験をピアノ(デジタル音源)で即興演奏するこの実験は新規のプロジェクトであり、私は被験者の第一号である。(第二号以降もあるのかは知らない)

だから上記の「実験の手順」は現時点でのイメージ(に近いもの)であって、実験の進め方については私も希望を出したり、何かアイディアがあれば提案したりしてブラッシュアップしていく余地もある。

空間体験と音楽表現の間にはどんな関係があるのだろうか。
それ以前に、とても複雑だと思われるその関係をどんな風に顕在化(モデル化)することができるのか、現時点の私には未知であり、その未知性もまた楽しいことである。

一つ一つのセッションで作る音楽は、数分にわたる演奏もあるだろうし、ほんの断片的なモチーフのみの場合もあるだろう。
実験は何ヶ月間に及ぶことを想定している。
私としては、最終的には、一連のセッションを包括した自己の音楽作品をまとめ上げること・・を目標に臨んでいく所存である。

さて、その実験初日に何を思ったか、首尾はどうだったか、続きは次稿にて。

by りき哉

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