デュエット曲はjazzyに
秋元順子さんの次の(3rd)アルバムに入る新曲の中から、一曲アレンジ(編曲)を担当させていただきました。
花岡優平作曲、荒木とよひさ作詞(敬称略)によるデュエット曲です。
今回の編曲は、ピアノトリオ+ギターにストリングス・カルテットとフリューゲルホーンをフィーチャーしてJAZZYな雰囲気で、というコンセプト。
4リズム(piano,guitar,bass,drums)に1ホーンというジャズのスタンダードな編成に加え、弦カルが入るところが(大きな編成のストリングスではなくて、カルテットであるというところが特に)このアレンジのミソ醤油・お洒落ポイントになるだろうと予感しながら(というか「そうなるようにしたい」と思いながら)、しっとりとした木の手触りのような、かつクールなサウンドを目指しました。
(「クールな」というのは「冷たい感じの」という意味ではなくて、こういう文脈では「カッコいい、イカした、素敵な」ほどの意味です。だったら最初からそう(日本語で)書けよ、と思われるかもしれませんが、こう表現したほうが文章としてクールなのです。たぶん。)
編曲は(私の場合)まず、メロディにつけるコード進行(和音、ハーモニー)を考えていきます。
与えられた一つのメロディにどんなハーモニーをつけるか(可能性は無数にあって)、今回の場合はjazzyなコード進行をつけていくわけですが、「jazzy」の解釈にも幅があるので、(アレンジはいつも)そのさじ加減を自分の中で見極めるところが一つの勝負所と言えます。
編曲に於いてはこのハーモナイズ(コード付け)という作業が、その曲がアイデンティティを獲得する上で最も重要な位置を占めると、私は考えています。
歌のメロディにつけるコード進行が決定したら、今度は曲のイントロや間奏やエンディングを考えます。
ここはゼロからの創作です。
イントロはその曲の玄関ですから、とても重要です。
(その他のすべても重要なのですけど)
あらゆる可能性を探り、いろいろなアイディアを練り吟味して「これで良いだろうか。もっと良いアイディアはないだろうか」と悩みながら取捨することを繰り返してここまで形になってくると、編曲作業の8割くらいはできた、という気分になります。
でもそれは気のせいで、ここから自分のつけたコード進行を母体にして、それぞれの楽器ごとの役割(つまりピアノとかバイオリンとかドラムとか、各楽器が弾く音やリズム、そしてそのニュアンスまでも)を考え悩み決定していく仕事を始めると、作業はまだ半分以上残っていたということを味わうことになるわけです。
もちろんすべての編曲工程は、その歌詞(ことば)の意味や機微にも導かれながら進んでいきます。
メロディと言葉、この二つを包み込み、楽曲として「編む」という作業が編曲だと言えるでしょう。
そうしてスコアを書き終えて編曲はめでたく完成。
レコーディングして音が具現化するのがワクワク楽しみであり、思った通りのサウンドになるだろうかとドキドキ不安でもあります。
今回は6月の上旬に優平さんから曲を頂き、「春のコンサートツアー」を回る合間に少しずつ進めました。
ツアーが幕を閉じた翌々日(7/11)にキングレコード・スタジオにてオケの録音をして(ピアノパートはもちろん自分で弾いてます)、その後日に歌入れも終わり、すべて無事に成功裏に終了。
仕上がりは上々!すこぶるクール!
乞うご期待、というところです。(自分でもすごく楽しみ。)
曲名は「愛が熟すまで」。
アルバムはいよいよ9月9日発売予定です。
(アルバムタイトルは「愛する人のために」)
以下、そのレコーディングの際に撮った写真です。
7/11、オケのレコーディングを終えて、キングレコード・スタジオのコントロール・ルームにて。
向かって右から(今回別の曲を編曲した)石川龍大郎さん、花岡優平さん、私、花岡茂社長。
無事に大役任務を果たし、コントロール・ルームでふんぞり返ってみました。
安堵の表情です。(写真はブレ&ピンぼけ)
7/24、歌入れの日。
歌詞を睨み(自らも歌い)ながら、録音したテイクを真剣にチェックする花岡茂社長。
プレイバックをチェックしているところ。
(ピントは優平さん)
by りき哉
« ナストンボ | トップページ | ロスアンゼルス公演後記 »
「3 : Information」カテゴリの記事
- 「岡田満展 — カノン」 + 「あわいびとライブ」 at 三溪園(2022.09.17)
- 「鷲見坂(ワシン坂)〜2021年初秋。それは一通の手紙から始まった〜」/調草子 Kaori-ne(2021.10.24)
- 大塚康生さんを偲ぶ会/『わんぱく王子の大蛇退治』〜『ルパン三世 カリオストロの城』(2021.07.03)
- “あわいびとライブ2019春”を終えて(2019.05.01)
- あわいびとライブ 2019春(2019.04.27)
コメント