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2008年5月 5日 (月)

「人差し指」について

日本語において、手の指のそれぞれは、何と呼ぶのが正式なのだろうか?

親指、人差し指、中指、薬指、小指。

一般的には、この呼び方が恐らく最もよく使われている呼称だと思う。(これが標準語なのかしらん?)

しかし私はこの中の「人差し指」という言葉には、かねがね大きな不満を感じている。

人差し指で実際に人を指差すという行為は、控えめに言っても決して穏和な態度ではない。
指し示す先が自分の話し相手である場合には、それは大変に威圧的な態度となる。よほど上から見下した視線であるか、あるいは怒りを表していることになるだろう。

指し示す先が第三者である場合には、「ほら、あの人・・・」と陰口を叩いていることになる。
実際には陰口でなくても、その光景を他人が見たらそう思うかもしれないし、指し示された当事者がそれに気づいた場合には、やはりいい気分はしない。
「後ろ指を指される」という言葉は陰で悪口を言われることであり、この時に使う指は「人差し指」である。

学校の先生が教室で生徒を指すときは上下関係があるのだから人差し指を使っても良いだろうが、大人の社会ではふつう、人差し指で人を指差すことはない。
というか、人差し指で人を指差すことは礼儀に反するので、通常のコミュニケーションに於いてはやってはいけないのである。

世界の中には、それが別に無礼にならないとか、逆にそれが敬意を表す、というような文化を持つ地域・民族もあるかもしれないが、今ここでは「人差し指」という日本語を問題にしているので、そういう指摘は無用である。
現在の日本の文化に於いては、人差し指で人を指差すのは無礼な仕草である。

このように、実際には人を指す時に使わない指を、いやそれどころか、そのように使ってはいけない指を「人差し指」と呼ぶことには、多いに疑問を抱くのである。

2歳4ヶ月になって日ごとに言葉を獲得しつつある息子に、この指の名前を説明するのに、何と説明したらよいのだろうか。
「人を指し示すのに使うから人差し指っていうんだよ。だけどそうやって人を指差しちゃだめだよ」では納得できないだろう。

ついでに言えば、不満はまだある。
だいたい、親指、人差し指、中指、薬指、小指というネーミングは全く合理性に欠けている。

「親指」と「小指」は、指の形状(大きさ)を比喩したものであろう。
「中指」は、手の中に於けるその位置を表している。
「人差し指」と「薬指」は、その指の用途を表している。

命名の基準がバラバラなのだ。

幼児語では、お父さん指、お母さん指、お兄さん指、お姉さん指、赤ちゃん指、という呼称がポピュラーだと思うが、これは全ての指を家族のメンバーに見立てたネーミングであり、命名の基準に一貫性があって気持ちよい。

ちなみにピアノのレッスンに於いては(上と同じ順番で)1の指、2の指、3の指、4の指、5の指、と番号で呼ぶ慣例になっている。これは便宜的に番号をつけただけだからもちろん不合理なことはないのだが、名前としては味も素っ気もない。

しかしまあ、ネーミングの不合理性については大目に見よう。
いまここで不平を述べたいことの中心ではない。
合理的でない事柄は日常たくさんある。

別次元で問題にしなければいけないのは、「人差し指」である。
日本語として、私たちは「人差し指」に代わる、何か新しい呼称をこの指につけるべきではないのか。

「食指」というのは音読みだし、冒頭に挙げた他の指の名称とはセットにできない。
「示指」というのもあるようだが、これも音読みで「じし」とのことだ。
これを訓読みにして「しめしゆび」とでもしたらどうだろうか。
他の呼び方でもよい。方言にももっと良いものがあるかもしれない。

息子には当面,上述の幼児語で対処しておこうか。問題の先送りだけど。

このことにみんな何の疑問も不満もないのか、私は多いに疑問で不満なのである。

by りき哉


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