ピアノレッスンと演技
先日は数日間に渡ってテレビ番組のお仕事。
フジテレビの特別番組で、トランペットが趣味の50代の俳優さんとピアノが趣味という若い女優さんがジャズの共演をする企画で、私はその女優さんにピアノのアレンジと指導をする、というものだった。
女優のお名前は宮地真緒さん。私は世間知らずで存じ上げなかったのだけど、NHKの朝ドラ「まんてん」の主人公を演じていた方とのこと。
ちなみに50代の俳優は斉藤暁さん。フジテレビのドラマ「踊る大走査線」で副所長役だった方だそうである。こちらは私の旧友のトランぺッター・海野知子さんがサポートする。
打合せで宮地さんのピアノスキルを見せて頂いてから、その日の内にアレンジを仕上げ、教則ビデオの撮影までこなす。
これであとは彼女に直接レッスンするだけで私の任務は終るハズだった。
ところがその翌日、台本が膨らんできたとかで、私もちょこっと出演することになってしまった。
某ライブハウスにて、私が宮地さんのリクエストに応えてソロ・ピアノ演奏するシーンを撮らせて欲しいという。
気楽に承諾したものの、メールで送られてきた台本を見ると、・・・えっ?・・何と、私にも台詞があるっ!
(それって、つまり、演技するってことでは・・・?!)
私の台詞だけ抜き出してみると、
「こんにちは〜」
「なにか好きな曲あります?」
(短くJAZZっぽく弾いてみて)「こんな感じ〜〜?」
みたいなノリで、私がピアノレッスンを引受けるところまでまだ二言三言ある。
たったそれだけでも、いざ「演技」となると絶対に自然には振る舞えないだろう。
手タレ(俳優さんがピアノを弾くシーンの手)の経験は何度かあるけど、あれは別に「演技」ではない。
小心な私は早くも不安になってきた。
さらに、宮地さんが私にリクエストする曲は、「ドラゴンボール」という私の知らないアニメのテーマソングだった。
mp3ファイルを送ってもらって聴くと、アップテンポな打ち込み主体の16ビート、キメがビシバシでメロディは同一音連打しまくり、ソロ・ピアノに最も不向きと思われるタイプの曲である。
明日の収録まで数時間しかない。仕方がないので、慌てて自分なりにアレンジして練習する。
一夜明けてロケ初日。
ソロピアノの中身はまあ及第だったか。
宮地さんにもスタッフの方々にも本当に驚嘆して喜んで頂けたようだったので、自分の中ではミスタッチが一カ所気になったのだけどそれで良しとした。
問題は「演技」だ。
こちらは案の定、すごくぎこちないことになっていると思う。
私が妙な違和感から抜け出せないまま、台詞の決められた会話はアドリブも交えつつとんとん進んでいった。
俳優さんはすごいなぁ。
それでも何とか終って、翌日と翌々日は私の自宅スタジオにて宮地さんにピアノレッスン。
そしてさらにその次の日、最終のライブハウス・ロケを迎えた。
今回のドキュメンタリー(なのか?)のハイライトである。
この日の私は普通に演奏するだけ。演技はしなくて良い。
宮地さんは特訓の甲斐あって・・・、どうだったかは内緒にしておこう。
ここだけの話、私としては先生冥利に尽きました。
宮地さん、よくがんばったね。お疲れさま〜!
かくも私にとってはドタバタで新鮮な一連のお仕事であった。
放映は12月25日(火曜)23時から。
フジテレビの「HIGH × HIGH × TEEN」という番組の中、15分間くらいの枠です。
by りき哉
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