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2023年9月 4日 (月)

「わかる」と「わからない」のあいだ

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【0】 はじめに (独り言)

時に、深遠な問いがふと素朴なものに感じられたり、素朴な問いの奥深さに思い至って呆然としたりする。
あらゆる問いは、素朴かつ深遠であるのかもしれない。

1+1 は 2 である。
だが私は「1+1=2」を、いったいどこまでわかっていただろう。
どれほど「当たり前」と思えることでも、というより、それが「当たり前」であればあるほど、「なぜ当たり前なのか」は言葉の彼方に溶けてゆく。

「わかる」とはいったい何か。
そもそも人は、「“わかる”とは何か」をわかることはできるのだろうか。
(できないと思われる)

対象の中に入ってわかること。
対象の外へ出てわかること。

一瞬にしてわかること。
年月をかけてわかること。

詩がわかること。
数式がわかること。
人の悲しみがわかること。
竹馬の乗り方がわかること。

「わかる」と「わからない」のあいだで、日々いろいろな光景に出会う。

その断片を折々に書き残してみようかと、最近思い立った。
小さな断片を重ねることで現れてくる何かしらも、無いとは限らない。

 

目次(本稿はこの先、以下のように展開していく予定です)

0. はじめに(上記です)
1. 理解と感嘆(近日公開予定)
2. 虚数とピーマン(近日公開予定)
3. 式と数のあいだ(近日公開予定)
4. ・・・ (以下、雑多に展開予定)

 

photo:
昼と夜のあいだ。(富士山の姿もくっきり)
2022年秋、横浜の洋上から iPhone で撮影。

by りき哉

2023年6月19日 (月)

花としての言葉と音楽と


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無二の音楽パートナーが天国へ行って、4年が経つ。

白築(長谷川)純 (1970-2019年/49歳)。
闘病の中で「大好きな紫陽花の咲く頃に逝きたい」と言った通りに行ってしまったこの季節、「花びらは散っても花は散らない」の言葉を思う。

花びらは散る。花は散らない。この(元は仏教思想家・金子大栄による)言葉は、倫理学者・竹内整一の著書で知った。
肉体すなわち物質としての「花びら」に対して、現象としての「花」は、その人の為したおこないであり、また、発したことばでもあるだろう。

モノは散っても、コトは受け取った人の中に残り、それは時が経って輝きを増すことさえある。彼女は、人と人を結びつけることに何よりもエネルギーを注いだ人だった。普段の生活にも、作る詞や音楽にも、それはいつも根底にあり続けた。

老若男女誰とも出会うや和気藹々と会話を弾ませて旧知の仲のようになってしまうのは、持って生まれた彼女の天性と、それを大切にする彼女の思いが合わさってのことだったろう。彼女が移住した島根でも、音楽活動に留まらない様々な縁に恵まれ、縁を繋ぎつづけた。そうしたたくさんの人たちの中で、それぞれが受け取った「花」は世代を重ねて咲きつづけていることと思う。

私とは1993年より音楽ユニット「mcasi mcasi」として作品作りやライブ活動を行い、2002年にはCDアルバム『ホコラ』をリリースした。
二人で作った楽曲たちもまた、根を広げ、葉を茂らせ、新たな可能性を繋いでゆくに違いない。


私信:
とらきち、空から聴いててな。


【補筆】
4年が経って、私の中でほんの少しだけ言葉になりました。
「mcasi mcasi」を聴いてくださった皆さま、あらためまして、どうもありがとうございます。


photo1:
紫陽花(2019.6.30 東京で)

photo2:
mcasi mcasi CDアルバム『ホコラ』と、白築純エッセイ集『いつかまた、きっと会える!』(山陰中央新報社)

『いつかまた、きっと会える!』は、山陰中央新報と毎日新聞島根版に連載した純のエッセイを、夫の賢一さんが編集、2022年に発刊されたもの。
(賢一さん、ありがとうございます)

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by 中村力哉

 

2022年9月17日 (土)

「岡田満展 — カノン」 + 「あわいびとライブ」 at 三溪園

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この度は、横浜の三溪園 旧燈明寺本堂を会場として展覧される「岡田満 個展 — カノン」にて、岡田さんのご厚意により「あわいびと」のライブを開催していただく運びになりました。

(「あわいびと」って何? という方はこちらをどうぞ→ あわいびと website

岡田満さんは美術系出版社「用美社」の代表にして、画家としても活動されおり、私もとても親しくしていただいています。
岡田さんの詩的な絵画は音の深い響きやその余韻が聴こえてくるようで、私の自宅スタジオの壁には「Unknown Afterimage(まだ見ぬ残像)」と題名がつけられた岡田さんの作品が大切に掛けてあります。

「岡田満 個展 — カノン」は、2022年12月1日(木)から4日(日)まで。
その三日目、12月3日(土)に「あわいびとライブ」を行います。

三溪園は、京都や鎌倉などから移築された数々の歴史的建物とともに四季折々の花々が迎えてくれる、横浜は本牧に広がる広大な庭園とのこと。(私も今回初めて伺います)
その中にあって、室町時代の建築で重要文化財となっている旧燈明寺本堂内の講堂がこの度の会場です。
このような空間で「あわいびと」の演奏ができること、そして岡田満さんの絵画作品とコラボレートできることに胸が高鳴ります。

三溪園の散策、そして岡田満さんの絵画世界とともに「あわいびと」の音楽をどうぞお楽しみください。

 

●【岡田満 個展 — カノン】

2022年12月1日(木)〜4日(日)
9:00〜17:00(最終日は16:00終了)

 

●【あわいびとライブ】
伝承と創出のあわいに紡ぐ、ふるさとのうた

2022年12月3日(土)
17:00〜18:30
約50名限定入場
¥3,000(三溪園割引入園料600円込み)

↑ お申し込み満席となりました。
(立席でよろしければ若干名の余裕がありますので、中村までご連絡ください)



場所: 横浜「三溪園 旧燈明寺本堂」内講堂
(重要文化財・室町時代建築)
神奈川県横浜市中区本牧三之谷58-1

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コンサートお問い合わせは、rikisac@gmail.com(中村力哉)までどうぞ。

あわいびと website: awaibito.com

 

 

【後記】(2022.12.7 追記)

おかげさまで無事に終了しました。会場いっぱいの皆さまからあたたかな拍手など頂戴しまして、誠にありがとうございました。

写真はとりあえず、絵画の展覧が行われている中で楽器の準備をしている昼間の様子です。

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by りき哉

2021年10月24日 (日)

「鷲見坂(ワシン坂)〜2021年初秋。それは一通の手紙から始まった〜」/調草子 Kaori-ne

 

2021年秋。
モノとコトのあいだ。生命と非生命のあいだ。その深遠な謎に惹かれ、いのちと出会いの不思議さ・ありがたさを日々思います。

この度、ネオ・ハイブリッド民謡ユニット「調草子 Kaori-ne」の新しいミュージック・ビデオを制作・公開しました。
神奈川県が主催する文化・芸術振興イベント「バーチャル解放区2021」への参加作品としてレコーディング・動画制作したものです。
当イベントの今年のテーマは「コロナ時代を生きる!」とのこと。

そのエントリーに際しての私たちメンバーからの解説を、以下転載します。


【動画解説】

2011年より活動している音楽ユニット「調草子 Kaori-ne」(シラベノソウシ カオリネ)です。このコロナ禍下で私たちの生活を支えてくださっているすべてのエッセンシャルワーカーの皆さまに感謝の気持ちを込めて、神奈川県「バーチャル解放区2021」にエントリーいたします。

当ユニットのアルバム 『一の巻 Daikoku mai』の中から、オリジナル曲「鷲見坂(ワシン坂)」をこの度リテイクしました。
鷲見(ワシン)坂は横浜市の中区山手町にある坂で、歴史を思わせてくれる長い石垣と今も麓で湧き続ける清水はこの地のシンボルマークとなっています。小高い丘の上からは本牧の海をまたぐ横浜ベイブリッジも見渡すことができます。

この映像作品では、「バーチャル」とは対極にあるであろう「手書きの手紙」を物語として織り込んでみました。人とのリアルなふれあいが包んでくれていた大切なこと、そしてバーチャルな世界が拓く可能性。そのいずれをも、このコロナ禍によってあらためて深く感じずにいられません。
私たちなりのそんな思いを込め、リモート作業による個々の演奏録音と撮影を合わせて作りましたビデオ・クリップを、どうぞ皆さまに楽しんでいただけますように。

 

“調草子 Kaori-ne”
「鷲見坂(ワシン坂)〜2021年初秋。それは一通の手紙から始まった〜」

原案:木津かおり
脚本・監督:海沼正利
音楽:内田充・木津かおり

【出演】
唄い手:木津かおり
笛奏者:佐藤錦水
ギター奏者:内田充
ピアノ奏者:中村力哉
パーカッション奏者・のげやまのたぬき:海沼正利(ダブルキャスト)

【演奏】
調草子 Kaori-ne

録音・映像制作:2021年9月
Photo of band members by 林建次

 

・・・というわけで本記事の冒頭の動画を、どうぞ楽しんでいただけますように。

 

● 「調草子 Kaori-ne ってなに?」という方へ
 当ブログ内のこちらをご覧下さい。
 ↓
調草子 Kaori-ne 1stアルバム『一の巻 Daikoku mai』リリース

 

 ↓ こちらは上記アルバム『一の巻 Daikoku mai』のPVです。

 

by りき哉

2021年7月 3日 (土)

大塚康生さんを偲ぶ会/『わんぱく王子の大蛇退治』〜『ルパン三世 カリオストロの城』

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「大塚康生さんを偲ぶ会」(2021年6月28日 杉並公会堂大ホール)にて、大塚氏にゆかりの深い(氏が携わった・影響を受けた)作品から音楽をピックアップしてピアノトリオで演奏するという大役を承りまして、謹んで献奏いたしました。

『ルパン三世』TV第一シリーズは、昭和40年代を子供時代として過ごした私の中にも鮮明な印象を刻み残しています。『カリオストロの城』の大きさも計り知れません。

アニメーションが「絵や人形などの動かない(生命のない)ものに動き(生命)を与えること」であると知り、そのことの奥ゆきに私が想像を巡らせられるようになったのは最近十何年かのことで、それは甚だ迂闊でありましたが、今はこうして大塚康生氏から(知らずのうちに)頂いていた多くのもの、その大きさに思い至り感謝できることは幸いです。


「偲ぶ会」実行委員のアニドウ代表なみきたかしさんより献奏を承ってからの2ヶ月近くの間、大塚氏へのリスペクトを胸に、(作品鑑賞から選曲や編成の構想含め)楽曲アレンジに取り組みました。

会場で演奏した曲は、以下の(6作品の中から)8曲です。

1. 『わんぱく王子の大蛇退治』より
 「母のない子の子守唄」〜「スサノオ対オロチ」
 (作曲:伊福部昭)

2. 『やぶにらみの暴君(王と鳥)』より
 「五月の歌」
 (作曲:ジョゼフ・コスマ)

3. 『せむしの仔馬(イワンと仔馬)』より
 「イワンと仔馬のダンス」〜「イワンと仔馬の渉猟」
 (作曲者・曲名は不詳。上記は私・中村による仮題)

4. 『パンダコパンダ』より
 「ミミちゃんとパンダコパンダ」
 (作曲:佐藤允彦)

5. 『ルパン三世(TV第1シリーズ)』『カリオストロの城』より
 「ルパン三世 主題歌2」〜「炎のたからもの」
 (作曲:山下毅雄)〜(作曲:大野雄二)

(演奏メンバー pf:中村力哉 wb:西川輝正 ds:秋葉正樹)


この日のために作られた小冊子(大塚氏の写真集)の中に、若かりし大塚青年がアコーディオンを弾いているモノクロ写真がありました。
大塚さんはプライベートではどんな音楽をどんなふうに楽しんでいたのかしら。
大塚さん、お耳馴染みだった曲たちのピアノトリオ・アレンジは楽しんでくださいましたかしら。(どうか楽しんでいただけていますように)
静止した一枚の絵が動き出して命を得るように、一つ一つの音に命を宿してゆきたい。そう願いながら、この度のアレンジ・演奏に臨みました。大塚さん、心に生き続けるたくさんの「命」を、ありがとうございます。


コロナ禍下につき(直前の中止もあり得る中)大ホールの定員を半分に制限した上での「満席」で、和やかな「偲ぶ会」でした。

会場で温かな拍手をくださった皆さま、なみきさん始め実行委員・関係者の皆さま、大変ありがとうございました。



「大塚康生さんを偲ぶ会」詳細(アニドウ website)
https://www.anido.com/information/4903

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(会場の写真はアニドウなみきたかし氏より頂きました)

 

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by りき哉

2021年3月 1日 (月)

“Radiant Waves” 中村力哉 musical composition 01

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自作曲を録音して、YouTubeにアップしました。

2005年の冬のある晴れた日の午後、美ら海の洋上をゆく客船のラウンジで、営業時間外に一人でのんびりとピアノを弾いていると、携帯メールが着信しました。見ると「無事に生まれたよ」と、甥っ子が誕生した知らせでした。

ラウンジを囲む窓の外は見渡す限りの海と空。真っ青な空には雲がぽっかり浮かび、陽を受けた海面がきらきら輝いて眩しいほどでした。このメロディとハーモニーは、そんな至福の中で生まれてきたものです。

曲名につけた 「Radiant Waves」は直訳すれば「輝く波」で、「waves」には実際の海の波とともに、生命の鼓動や波動といった意味合いも込めています。

2021年2月、東日本大震災から十年という時間が過ぎようとし、昨年からはコロナウイルス禍が続いている今、自身の作品の中からこの “新たな命を祝福するポジティブな曲” を録音してシェアしたいと思いました。

録音にはすばらしい演奏家に共演いただきました。
岩谷耕資郎 (guitar)、早川哲也 (contrabass)、池長一美 (drums) の各氏です。(どうもありがとうございます)

シェアしたいのは音楽なのですが、YouTubeにアップするにあたっては(折角なので)レコーディングを映像としても記録して音楽と合わせた動画にしてみようか・・・と。

コロナ禍で「3密」を避けるため、レコーディングは私の「HOCOLA Studio」に演奏者お一人ずつ日を分けてお招きし、録音も撮影も(その後のミックスも動画編集も)すべて私一人で行っています。
(動画の撮影と編集についてはこれまで何の経験も知識もなく、初めての手探り作業でした。「 “初めての動画撮影&編集” としては上出来」としておきたいと思います)

子どもたちに、あるいはこれから生まれてくる子どもたちに(もちろん大人たちにも)、穏やかな風がそよいで温かな陽が降り注ぐ明日がいつも開けていますように。

 

【レコーディンング・データ】

composition & piano: 中村力哉

guitar: 岩谷耕資郎

contrabass: 早川哲也

drums: 池長一美

Recorded at HOCOLA Studio, Tokyo
on Feb. 2021

piano tuning: 堀本幸隆

recording & mixing: 中村力哉

musical composition title:
“RADIANT WAVES ”
(Jan. 2005)

 

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by りき哉

2019年5月 1日 (水)

“あわいびとライブ2019春”を終えて

 2019年4月30日、東京・中目黒は「楽屋」にて行いました「あわいびと」ライブは、おかげさまでたくさんのお客様に見守られながら無事に終えることができました。(当ライブのご案内はこちら

「平成」結びの日(という特別な日)に会場いっぱいの皆さまにお越しいただけたことは、本当にうれしくてありがたいことでした。ご来場いただきました皆さま、そしてエールを寄せてくださった皆さま、どうもありがとうございました!

今回は、津軽の「木造り田植え唄」と、大分県の「鶴崎踊り(猿丸大夫)」を、新たにアレンジ・初演しました。
ゲスト参加いただいたギターの岩谷耕資郎さんとともに、精一杯に思いを込めて演目の一曲一曲をお届けできたように思います。(岩谷さん、どうもありがとうございました!)

そうそう、ちょっと変わり種の演目だった「おこんじょうるり」では、美鵬成る駒の軽妙な演技(?)に会場の皆さん乗せられて(お付き合いくださり)、取り分けなんとも朗らかな一体感があったような・・・。

会場を包んでくれた温かな手拍子や声援、それにMCでの和やかな笑い、それら様々な共振が心に深く残るライブとなりました。

いろいろなご縁に感謝いたします。

 

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↑写真は終演後のステージにて。

そして、前回(2018年3月)のライブにゲスト参加いただいたベースの三枝俊治さんも(今回はお客さんとして)駆けつけてくれて一緒に記念撮影。↓

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ちなみに岩谷さんと三枝さんは、共に「九十九里大漁木遣り唄」の録音(2012年)に参加ご協力いただきました。(楽器演奏のみならず)唄囃子もかけてくれています。↓

 

これからも少しずつ、自分たちなりの歩みを続けて参りたいと思います。
皆さま、あわいびとを引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

 

【ライブ・データ】

2019年4月30日(火)
於:中目黒 「楽屋」

出演
あわいびと:
唄・太鼓   美鵬成る駒
尺八・篠笛  佐藤錦水
ピアノ    中村力哉
ギター    岩谷耕資郎(サポート・ゲスト)

演奏曲
・木造り田植え唄(青森)
・会津磐梯山(福島)
・十三浜甚句(宮城)
・おてもやん(熊本)
・相馬二遍返し(福島)
・おこんじょうるり(人形アニメーション映画『おこんじょうるり』より)
・鶴崎踊り(猿丸大夫)(大分)
・木曽節(長野)
・男なら(山口)
・九十九里大漁木遣り唄(千葉)
・南部餅つき唄(青森)

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あわいびとwebsite : awaibito.com

 

2019年4月27日 (土)

あわいびとライブ 2019春

2019年も新緑の眩しい季節になりました。

東日本大震災からは丸8年が経ち、9度目となった(ここ東京では例年より長く咲いていた)桜の花も終わって、4月30日は「平成」最後の日として時代の節目を迎えます。

今年に入ってから、この震災に直接関連した書籍としては2冊、小松理虔 『新復興論』(ゲンロン叢書)と、瀬尾夏美『あわいゆくところ 陸前高田、震災後を生きる』(晶文社)を読みました。著者の体験と思想と行動から生まれ出てきたそれらのメッセージや記録に触れて、あらためて感じ入ること多くありました。(これらについてはいずれ改めて)

あらゆることが連続していて、無数の事物が様々に重なりあって、目の前の風景も意味も常にゆらぎ、その移ろいの中で私はジタバタするばかりですが、さて、その節目の4月30日に行います「あわいびとライブ」が、いよいよ目前となりました。

この度は、ギタリストの(あわいびとのレコーディングにも参加してくださいました)岩谷耕資郎さんをゲストにお迎えします。また、新たに大分県と青森県の民謡を初演します。

伝承と創出のあわいに紡ぐ、ふるさとのうた。

どうぞお運びください。

 

【あわいびとライブ】

2019年4月30日(火)

open 17:00
start 18:00
music charge 3,000円

唄・太鼓  美鵬成る駒
尺八・篠笛 佐藤錦水
ピアノ   中村力哉
ギター  岩谷耕資郎

場所:中目黒「楽屋 rakuya」
東京都目黒区上目黒2-15-6
tel 03-3714-2607

あわいびとwebsite : awaibito.com

 

 

あわいびと(と後に命名することになった当プロジェクト)のスタートが、この「相馬二遍返し」(2011年5月録音・公開)でした。

 

 

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2018年5月29日 (火)

高畑勲監督を偲んで/「アルプスの少女ハイジ」「母をたずねて三千里」

2018年5月25日(金)、オープロダクション・アニドウの主催により杉並公会堂大ホールで開催された「高畑勲さんを偲ぶ会」にて、追悼ミニコンサートとしてジャズカルテット+1で献奏いたしました。

 

そのことについてここに記しておきたいのですが、取り急ぎ暫定的に4月からの一連の公開日記を貼っておきます。
いずれ時間ができた時に改められれば・・・と。

 

 

 

 

【動画について付記】

 

『母をたずねて三千里』(高畑勲監督/1976年放映)の劇中音楽より「港町の少年マルコ」です。
サントラ盤には同曲が計3トラック収録されており、曲名は上記のほか「屋根の上の小さな海」「とうとうかあさんに」と付けられています。
作曲は(『母をたずねて三千里』の音楽すべて)坂田晃一氏。

 

2018年4月5日に逝去された高畑監督を偲んで、この作品の主人公マルコの旅を思いながら弾きました。
2018年4月7日、東京・ホコラスタジオにて。
(ピアノの調律はだいぶ悪いですが、期間限定として暫く公開しておきます)

 

動画でピアノ手前に開いて置いた本は、2016年12月にイタリア文化会館にて開催された“マルコの世界 小田部羊一と「母をたずねて三千里」展”の図録です。

 

同展にて、高畑監督は『母をたずねて三千里』を観たのは放映当時以来(40年ぶり)との由。
そのコンサート終演後、「劇中音楽からは9曲演奏しましたが、全曲とも覚えていらっしゃいましたか?」とお尋ねしたところ、「確かに覚えていない曲もあったけれど、いや、しかしほとんどは覚えてましたよ、うん」とのことでした。

 

参考までに、同展に関する私のブログ記事はこちらです↓

 

● 同展の告知:ピアノトリオで奏でる、マルコの世界/「母をたずねて三千里」

 

● 同展の後記: ピアノトリオで奏でたマルコの世界(コンサート後記)

 

 

 

 

 

 

 

 

【付記】

 

そして当日。千人以上の会場は満席でした。

 

 

 

 

 

 

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(会場で配布されたリーフレットより、コンサート演目部分)

 

 

【追記】

 

主催のなみきたかし氏のツイートも。

 

 

 

 

 

by りき哉

 

 

 

 

クマと僕とリンゴ

(公開日記より)

【2018年3月30日】

今日は(私は同行できなかったが)家人と息子が官邸前のデモに参加した。
何よりも、言葉を守るため。
この5年間(現政権によって)踏みつけられ続けてきた「言葉」を取り戻すため。

そしてちょうど同じタイミングで官邸前から帰宅した家人と息子と、夕飯をいっしょに食べた。
お疲れさま。キャンドル三つもらったのか。

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【2018年3月31日】

“僕はリンゴを食べながら歩いているクマを見た。”
と紙に書き、
「これ、リンゴを食べたのは“僕”かクマか、どちらか分からないよね?」
と言って読点の(位置と有無の)重要性を息子に説明したのは、彼が小学3年生くらいの頃だったか。
クマ好きだった彼はケラケラ笑って頷きながら耳を傾けてくれた。

言葉を軽んじ、言葉を踏みにじり、言葉から逃げる。そういう人物を首相に据えてしまうことを繰り返さないために、まずは自分自身が言葉を(できるだけ)大切にしたいと思う。

読点の位置と有無に気を配るのはその第一歩で、それはつまり他者に対して誠実であろうとすることなんだよ(と息子へ)。



by りき哉

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